ルーラ、閣僚再編決まらず難航=セントロン取込み図るも=抵抗する現職と板挟みに

ルーラ大統領(労働者党・PT)は8月29日、新しい省庁「中小企業省」の設立を発表した。その背後にはセントロンからの圧力と、現職閣僚たちがセントロンと入れ替わりに辞職することに難色を示していることにある。8月29日付フォーリャ紙(1)などが報じている。
ルーラ氏は新省設立に関する記者会見で、「中小企業、並びに個人事業主に対しては専門的に気をつかって対処することが必要だ」「多くの人が労働手帳を介した仕事を求めている。そうした国民の手助けになることをしたい」と語った。
だが、その背後には連邦政府の閣僚職を求めるセントロン政党との駆け引きが存在する。現在の左派勢力は連邦議会で過半数にも及ばないため、ルーラ政権はアルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)をリーダーとするセントロンの取り込みを必要としている。また、それを知るリラ議長は、連邦政府内でのセントロンの影響力拡大を図っている。
こうした動きを受け、連邦政府はセントロンの中ではむしろ保守寄りのPPや共和者(RP)の取り込みを協議中で、アンドレ・フフカ下議(PP)とシルヴィオ・コスタ・フィーリョ下議(RP)を入閣させることを約束することで財政均衡法案承認などにこぎつけた。
だが、彼らをどの役職に就かせるのかが決まらない状態が長引いている。彼らの就任先としては社会開発相、スポーツ相などの名前が出ていたが、進捗していない。特に前者は、ルーラ政権の看板政策のボルサ・ファミリアを扱うだけに、セントロンに任せることに反対する声が以前から強い。
G1サイト(2)やエスタード紙(3)によると、ルーラ大統領は8月30日、ウェリントン・ジアス社会開発相(PT)を呼んで会合を行った。事前の予想では、社会開発相をフフカ氏かシルヴィオ・コスタ氏に譲り、ウェリントン氏を科学技術相か中小企業相に配置転換させるのではと見られていた。
だが、ルーラ氏は会談後、ピアウイ誌の取材に対して、「ウェリントンは連邦政府に残る」と発言。さらに、「飢餓との戦いは始まったばかりだ。この件はウェリントンのような能力の高い人に託さなくては」と語っていることから、ウェリントン氏は社会開発相に残留すると見られている。
一方、テラサイト(4)によると、アナ・モーゼル・スポーツ相も8月29日、聖州スマレーで行われたスポーツセンターの除幕式で「もっと多くの女性が権力を持つことが必要だ」と発言。それが閣僚交代への反対声明と捉えられている。同氏は8月初旬にも、「女性の仕事に対する不信感は大きい」との発言を行っている。
他方、閣僚再編成の話の中で交代が確実視されているのはフランサ氏だ。ルーラ氏は8月30日、ウェリントン・ジアス氏を呼ぶのと並行してルシオ・フランサ港湾航空相(ブラジル社会党・PSB)も招いたが、同氏が閣外に去るのか、他の省庁に動くのかは未広表だ。
今回、中小企業省ができたことで現政権の省庁数は38に増え、ジウマ政権時の39に近づいた。テメル政権では29、ボルソナロ政権では23まで減っていた。