新型コロナ=6カ月児からもエリス株=検査の陽性率は倍以上に

ブラジル診断医学協会(Abramed)とトードス・ペラ・サウデ研究所(ITpS)が8月30日、新型コロナへの感染を確認する検査の陽性率が倍以上になり、感染者が増加傾向にあると警告を発した。同日は連邦直轄区とリオ州でもEG.5(通称エリス株)の感染者確認が発表された。
検査の陽性率上昇は8月30日付G1サイトなど(1)(2)(3)が報じている。Abramedによると、7月29日~8月4日の陽性率は6・3%だったが、8月12~18日は13・8%に上昇。ITpSも、7月は7%だった陽性率が8月は15・3%に上昇したと報告している。
ITpSの場合、陽性率が高いのは49~59歳の21・4%や80歳以上の20・9%だ。州別陽性率はミナス州21・4%、ゴイアス州20・4%、連邦直轄区19・5%、パラナ州15・7%、サンパウロ州14・1%、マット・グロッソ州13・6%と続く。陽性率が最も上昇したのは8%が20%となったゴイアス州だ。
どちらの機関も、感染力がより強い株による感染拡大が陽性率上昇の原因と見ている。現在懸念されているのは、米国などで感染者の急増を招き、50カ国以上で確認済みのエリス株だ。エリス株はオミクロン株から派生し、世界保健機構(WHO)が観察中の株で、予防接種や感染でできた免疫をすり抜けるほど感染力が強いが、予防接種が進んでいることもあり、重症化例や死亡例は少ないとされている。
ブラジルでのエリス株感染者は8月17日に確認されたサンパウロ州の71歳の女性のみだったが、8月31日付テラサイトなど(4)(5)(6)によると、8月30日には、連邦直轄区在住で生後6カ月の子供とリオ市在住で46歳の男性の同株感染が確認された。子供は入院したが既に退院。男性は軽症で隔離、観察後、回復した。注目されるのは同株感染者は全員、旅行経験がないことで、市中感染が起きていることは明らかだ。
8月31日付G1サイト(7)によれば、連邦直轄区では7月29日~8月26日に1503人の新規感染者を確認。感染が既に拡大している中で1人の感染者から生じる二次感染者数(実効再生産数)は1・15で、感染拡大が起きている。
8月31日付フォーリャ紙サイト(8)によれば、サンパウロ州の8月24~30日の新規入院者は1日平均101人で、8月3~9日の74人を36%上回っている。
8月31日付G1サイト(9)によれば、連邦直轄区の場合、オミクロン株にも対応するビヴァレンテのワクチン接種率は22%のみだ。ビヴァレンテの接種率が低いのは全国的な傾向で、専門家は、エリス株による感染拡大回避のためにも、ビヴァレンテによる補強接種をと勧めている。