《記者コラム》セラードの民の会議と物産展=13~16日にブラジリアで

「セラードの日」の11日にちなみ、ブラジリアで13~16日に「セラードの民の会議と物産展」が開催されると12日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。セラードの日は5日の「アマゾンの日」に続く環境デーで、今回のイベントは生物群系に関する政治、文化、環境イベントの中でも最大規模のイベントの一つだという。
国内外で有名なセラード(ブラジル中部サバンナ気候地帯)だが、その領域がパラナ州やサンパウロ州など11州と連邦直轄区にまたがっていること、国土全体の23%以上を占めている植生であることを知る人は少ないかもしれない。
コラム子自身、セラードと聞くと、北東部にあるマラニョン、トカンチンス、ピアウイ、バイアの4州を示すMatopiba地区だけを想像してしまう。
主催のRede Cerradoによると、10回目となるイベントのテーマは「セラード:人、文化、バイオームのつながり」。
会議や物産展には、解放奴隷が形成した集団地キロンボの住民「キロンボラ」や果実ココ・ババスの実を割る作業者「ケブラデイロ」、サンフランシスコ川沿岸の農業従事者「ジェラゼイロ」、先住民族その他、伝統的な暮らしをする民を含む約1万人が集うという。
11日付アジェンシア・ブラジル(2)では、出版物『セラードの民と生物多様性についての知恵』の内容を紹介。同書には、数えきれない世代にわたって森林と景観を守り、セラードを世界で最も生物多様性の高いサバンナの一つにしてきたのは、先祖伝来の知識と伝統であることが詳述されているという。
セラードは日本人の努力もあって、大豆などの一大産地となっているが、11日付アジェンシア・ブラジル(3)(4)によると、近年は森林開発が進み、同地域にある八つの重要な河川流域の源泉地の安全性が脅かされている。1~7月のアマゾンの森林伐採は昨年同期比で42・5%減ったのに、セラードでは21・7%増え、内85%はMatopibaで起きている。

何年も前、セラードを含む北東部の森林や雨の分布はアマゾンやその他の地域の降水量にも影響するとの研究報告があった。先住民族を含む伝統的な民達がセラードの乱開発による農牧地拡大に反対しているのも、先祖伝来の知恵に基づく行動だ。
11日付アジェンシア・ブラジル(5)は、Matopibaでは土地の不法転売などのために環境許可を取る動きがあり、マリーナ・シルヴァ環境相は長期間の土地使用許可を出すことを避けようとしていると報じた。
先住民族居住地は原生林の保存率が高いなど、学ぶべきことが多い。9月は22日が「チエテ川の日」、「世界ノーカーデー」であるなど、環境について考えさせる日が続く。開発より土地の修復と生産性向上を図るなど、自然と共存する生活を目指したい。(み)