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下院=選挙法改正案基本文を承認=政治家本位のお手盛り法案=出馬禁止規則など骨抜きか

2023年9月15日

13日の下院(Camara Dos Deputados)
13日の下院(Camara Dos Deputados)

 13日、下院で選挙法改正の基本文が賛成圧倒的多数で可決された。この法案は、選挙汚職がある候補から立候補資格をはく奪するフィッシャ・リンパ法や、行政上の不適切な行為を取り締まる行政不正法(lei da Improbidade)を骨抜きにしかねないものとして懸念されている。同日付フォーリャ紙(1)やCNNブラジル(2)が報じている。
 この選挙法改正に関する下院全体投票では、改正原案に対し367票対86票の圧倒的多数で賛成票が投じられた。右派、左派、セントロンにまたがって幅広くこの法案は支持され、急進左派の社会主義自由党(PSOL)と新興右派ノーヴォのみが反対した。
 今回の法案により、現在は人種間格差を縮めるために規定されている黒人や女性に立候補枠を割り当てる制度をより柔軟にし、汚職問題を起こした候補者の資格喪失期間の短縮、選挙資金プロセスの透明性を損なう方向に向かう要素があるとされ、今まで強く規制してきた選挙法を弱体化させのではと伯字紙には批判する声が多い。
 特に次の点で、フィッシャ・リンパ法などが緩められるのではないかと危惧されている。一つは、選挙違反の場合の出馬禁止期間だ。今法案だと、職責を失った政治家の資格喪失期間こそ引き続き8年間だが、その期間は職責を失った時点から始まる。現在は、残りの任期に加えて、更に8年間出馬できない。
 この文書では、一般的な犯罪で有罪判決を受けた政治家は、有罪判決直後から8年間資格を剥奪される。だが現在の資格剝奪期間は、服役中に加えてその後8年間がカウントされる。その分、現在よりも早く出馬できるようになる。
 さらに改正法案では「出馬禁止」となる不正項目から「秘密漏洩」「不正入札」「会計報告未申告」「情報接近法の不遵守」「縁故採用」などを外している。
 一方、これまで「各政党は候補者の30%を女性としなければならない」と規定していたが、改正法では「フェデラソン(連立)の形を取る場合に30%に達していること」に代わり、連立政党で埋め合わせができる範囲でなら良しとされると緩められた。
 また「選挙資金の用途の透明性」に関しては、これまで選挙前と選挙後の2回の報告義務があるが、改正後は資金の動きがない場合は選挙裁判所への報告の必要がないとしている。
 Pixを介した選挙献金は、これまでは支払者は納税者番号(CPF)を介して、収入の10%までしか払うことができなかったが、改正案だとCPFは義務付けられなくなり、金額の限度も現状では決められていない。
 改正法案では「選挙の年の下半期にはいかなる選挙違反の罰則も科さない」としている。この規定に従うと、昨年の大統領選の際に表の最集計を求めた自由党(PL)に対してアレッシャンドレ・デ・モラエス長官が同年11月に巨額の罰金を課したようなことができなくなる。
 一方、この法案では選挙の日程が少し変わる。これまで8月15日が期限だった候補者登録が7月26日に繰り上がる。選挙裁判所による候補者の審査も「第1回投票日の20日前」だったのが「5日前まで」となる。党による候補者選出の期限も「7月20日〜8月5日」が「7月5日〜20日」となる。
 選挙当日に公共機関の交通費を無料とする「パッサ・リーヴリ」を市や州の判断に任せていたところを、改正案では義務化している。
 この改正法案は14日に部分修正を経た後、上院でも通過し、大統領が10月4日までに承認すれば、来年10月の全国地方選から適用される。


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