1月8日調査委員会=「クーデター企図などない」=エレーノ元GSI長官証言=報告官と激しく舌戦を展開

26日、1月8日三権中枢施設襲撃事件の両院合同議会調査委員会(CPMI)で大統領府安全保障室(GSI)元長官のアウグスト・エレーノ氏が召喚された。エレーノ氏は「クーデターを起こしたいなどと思ったことはない」と否定したが、その答弁の正当性を巡り、報告官のエリジアネ・ガマ上議(社会民主党・PSD)から度々、矛盾が指摘された。同日付CNNブラジル(1)やポデール360(2)、上院サイト(3)、フォーリャ紙(4)が報じている。 陸軍大将だったエレーノ氏はボルソナロ政権時、前大統領に最も近い閣僚と目されていた。エレーノ氏は昨年の大統領選終了から1週間ほどの11月、ルーラ氏に関して「病気で死ななくて残念だ」との発言を行っている。また、1月8日の襲撃
事件当日は同氏が率いたGSIメンバーの人事異動は行われておらず、その中の一人が襲撃者に水を差し出すなどして警備を怠ったことも問題視された。
エレーノ氏は召喚に応じるのを渋っていたが、最高裁のクリスチアーノ・ザニン判事が出席を義務付けた。ただし、エレーノ氏の黙秘権行使は認められた。
エレーノ氏はCPMIで、「クーデターなど起こっていないではないか。この国は850万キロ平米に2億人の人が住んでいる。そのような大きな国でクーデターを起こすにはよほど周到な準備が必要となる」とし、軍の役目を「領土の主権を守ること」と定義した。
これに対してガマ報告官が、「前大統領の支持者らは選挙が終わってから69日もの間、ブラジリアの軍本部前にキャンプを張り、長期間かけて計画を練っていた」と反論した。
エレーノ氏はこれに対し、「キャンプには行っていない。極めて平和な抗議行動であった」と反論したが、ガマ報告官は襲撃事件のみならず、昨年12月24日のブラジリア空港近くでのトラック爆破未遂事件の例も挙げ、「このようなことが計画されていた状況でどうしたら平和的と言えるのか」と反論した。
また、襲撃事件に関して、エレーノ氏は「嘆かわしいことだ」と発言。襲撃の側に加担する準備などしていなかったとし、自身との関連性を否定した。
エレーノ氏は続いて、ボルソナロ前大統領の右腕の陸軍中佐マウロ・シジ容疑者が連邦警察に対して行った報奨付証言について尋ねられた。シジ容疑者はその証言で、ボルソナロ氏が選挙後に軍の高官らと会議を行った際、シジ氏もエレーノ氏も参加していたと語っている。
エレーノ氏はこれに対し、「シジはいかなる司令官達との会議にも参加したことがない」と発言したが、ガマ報告官とロジェリオ・コレイア下議(労働者党・PT)の2人は、シジ氏が2019年に開かれた大統領と司令官達との会議に参加していた写真を見せて反論した。
エレーノ氏はこの会議で話された選挙結果を変える法案(ミヌタ)についても、「そのようなものは聞いたことがない」と否定。ボルソナロ氏に関し、「三権の外に出るという表現を何回かしていたが、それをなだめるのは私の任務ではなかった」とも答えている。
エレーノ氏はガマ報告官からの反論に苛立ち、自身の弁護士の方を向くと、女性への侮蔑語を使いながら「私の頭の中にあると思うことを喋りまくっている」と話しかけていた。