site.title

USP=学生の授業ストライキ拡大=高まる不満、授業妨害まで

2023年9月29日

2012年5月、USP法学部学生スト総会の様子(pco.fotografia,Wikimedia Commons)
2012年5月、USP法学部学生スト総会の様子(pco.fotografia,Wikimedia Commons)

 サンパウロ総合大学(USP)の学生のストライキが拡大し、バリケードによるアクセス封鎖により、教授らが大学内の一部の建物に入ることができず、授業を妨害される事態に陥っている。27日付エスタード紙など(1)(2)(3)が報じている。
 最大の原因は教師不足の問題だ。長期にわたる財政危機とコロナ禍の影響で、2014〜23年に定年などで818人もの教員が大学を去ったが、その分の補充採用が許可されていない。これは、学生数に変化がないにも関わらず、教員が15%減少したことになり、必修科目が開講されず、学生の卒業が遅れるケースも発生した。
 大学側は25年までに879人の段階的な教員採用を計画していたが、学部からの要請と学生からの圧力により、採用手続きを前倒しせざるを得なくなった。それでも、選考プロセスの非効率性や遅れもあり、新しい教員着任は来年以降となり、学生の不満は解消されていない。
 教員たちには、ストに参加していない学生からの授業の有無についての問い合わせなども相次いでおり、一部の教授たちはオンライン授業に戻ることを検討している。同大学は今月発表された世界大学ランキングで、南米地域トップに返り咲いたばかりで、これ以上の授業の遅れは避けたい考えだ。
 ただ、一部の教員からは懸念の声も上がっている。物理学研究所のレナタ・フンシャル教授は、学生たちからの要請で今週初めに遠隔授業を行ったが、「学生たちが勝手に入ってきて、駄々っ子のように振る舞い、落書きをして授業を妨害した。ライブ授業を中断してビデオ録画に切り替えなければならなかった」との言葉で妨害行為があったことを説明。これは常態化できない暴力行為とし、「自由とは自分のやりたいことをやるのではなく、選択肢を持ち、他人の選択肢も尊重することだ。これらの運動は権威主義的で、理不尽な要求を持っている」と苦言も呈した。
 スト開始は21日で、現在は哲学・文学・人間科学部、コミュニケーション・芸術学部、建築学部、工学部での授業は実質的に止まっている。また、26日は法学部、27日には一部の教職員もストへの参加を決めている。
 学生たちは学生の教育支援を提供する「学生の滞在と教育支援プログラム(PAPFE)」の改善も要望している。USPは昨年、助成金を500レアルから800レアルに増額し、学生寮に住む学生にはさらに500レアルを支給した。しかし、学生はサンパウロ市で生計を立てるにはまだ不十分だと考えている。
 また、サンパウロ市東キャンパスの学生向けに提供されていた追加の250レアルの特別手当廃止も不満の種となっている。同キャンパスの学生たちは地域の特性上、経済的に困難な状況にある労働者階級の学生が多いため、他のキャンパスより高い金額が必要だと主張している。学生たちはこれらの要求を受け入れない大学側に対して不満を表明しており、対話の必要性を訴えている。


リベルタドーレス杯=インテル、ネンセ、互いに譲らず=ブラジル勢同士の準決勝、引き分け前の記事 リベルタドーレス杯=インテル、ネンセ、互いに譲らず=ブラジル勢同士の準決勝、引き分け中銀総裁=ルーラと今年初の会合=ハダジ「良い関係の始まり」次の記事中銀総裁=ルーラと今年初の会合=ハダジ「良い関係の始まり」
Loading...