エクアドル=右派実業家ノボア氏当選=史上最年少35歳大統領

南米エクアドルで15日、大統領選挙の決選投票が行われ、同国最大の実業家の息子で中道右派のダニエル・ノボア氏(35)が52・3%の得票率で勝利した。主要世論調査で本命とされていた、ラファエル・コレア前大統領が推す候補者で、初の女性大統領選出を目指した弁護士のルイサ・ゴンザレス氏は47・7%で、かなり僅差で制した形となる。ノボア氏の大統領就任は12月で、2025年5月までの任期を務める。同国史上最年少の大統領となると、15日付G1サイトなど(1)(2)が報じている。
ノボア氏は、国内でも最大級の実業家の一人で、元大統領候補のアルバロ・ノボア氏の息子だ。自身も企業家で、元国会議員でもある。国会では経済開発委員会の委員長を務め、経済、税金、投資分野で多くの法案を審議した。
選挙戦では雇用創出、新規事業への税制優遇措置、重要な税金逃れ者への刑事訴追に焦点を当てると共に、LGBTQ+コミュニティへの支持や教育への強調など、進歩的な社会的アイデアを提唱し、支持を集めた。
ハーバード大やニューヨーク大といった米国の名門大学で経営や行政を学んだ上、若い頃から家族会社である「コルポラシオン・ノボア」で働き始め、知見を積んだ。同社は、エクアドルの主要な輸出品であるバナナの輸出に携わっており、「バナナ輸出王」とも称されている。現在は結婚して、2人の子供の父親でもある。
今年の大統領選では、調査報道ジャーナリストで大統領候補だったフェルナンド・ビジャビセンシオ氏が、7月初めにキトでの集会後に頭を撃たれて殺害されるという事件が起きている。麻薬密売に関連する犯罪グループが犯行声明を出したが、同国の検察当局はまだ捜査を続けており、この事件は歴史上前例のない襲撃事件として、世界中の注目を浴びる事となった。
ビジャビセンシオ氏に代わって立候補したクリスチアン・ズリタ氏は、選挙区に出席する際、強力な安全対策を施し、防弾チョッキとヘルメットを着用。他の候補も同様の措置をとった。
エクアドルは大統領選挙を前倒しして実施した。これは、現大統領のギジェルモ・ラッソ氏が同国史上初の弾劾に直面しているからだ。議会の基盤が弱かった同氏は、議会を解散して新たな選挙を行うことを決めた。ノボア氏はラッソ大統領の任期の残りを全うすることになる。国会を解散し、新たな大統領選挙を行うことを、同氏は「十字架の死」と呼んでいる。ラッソ氏自身が大統領選挙に立候補することも可能だったが、同氏は選挙に出馬しないことを選んだ。