最高裁=麻薬と中絶審議を先送り=連邦議会の圧力など受け

最高裁のルイス・ロベルト・バローゾ長官は6日、個人消費目的の麻薬所持の非犯罪化についてコメントし、現在のブラジルの麻薬政策は「迷信だらけ」「大失敗」と批判した。また、自己妊娠中絶の非犯罪化に関しては今年の議題として取り上げるつもりはないと述べた。この2案件の審議を進めることにセントロンが強く反発しており、最高裁判事の権限を制限する法案審議が連邦議会では進む。その流れを受けて二つの法案の審理は最高裁で停滞となり、逆に連邦議会ではセントロンが政府法案に賛成するようになってきたようだ。6日付テラ・サイトなど(1)(2)が報じている。
「連邦議会はすでに、個人消費目的での麻薬所持を非犯罪化している。最高裁が行っているのは、個人的な所持と密売を分ける量を区別することだ。現行法ではそれを定義するのは警察だが、その基準は往々にして差別的だ。麻薬に関わることはすべて、多くの迷信が伴い、麻薬政策は失敗の道を歩んでいる」とバローゾ長官は述べた。
同長官は、「あらゆることを議題とする」ことを望んでいるが、妊娠中絶の問題は2024年まで保留すると述べた。「この問題はまだ成熟しておらず、法廷で議論されるべき段階に至っていない。中絶に賛成している人などいない。妊娠中絶を決断した女性を投獄するかどうかが議論の焦点だ」と強調した。
最高裁が先住民保護区制定について、「マルコ・テンポラル(タイムライン)」に基づく判決は違憲と判断したことで、議会での議論が希薄になった。上院はその一週間後に同法案を承認したが、ルーラ大統領にが10月20日に拒否権を行使したため、法案は事実上「死んだ」状態になった。というのも、もし拒否権が覆されて法案が成立すれば、最高裁も違憲と判断せざるを得なくなるからだ。
議会ではさらに、最高裁の権限を制限する憲法改正法案(PEC)が攻勢をかけている。そのひとつは、上院憲政委員会(CCJ)が全会一致で承認したもので、法律の効力を停止するような一判事の単独判断を禁止し、見直し請求から審理再開までの日数を制限するものだ。このPECが承認されれば、議会が承認した法律を違憲とする判断は、大法廷や小法廷での投票が必要となる。
最高裁判事の職務権限に関する提案も再浮上し、ロドリゴ・パシェコ上院議長(社会民主党・PSD)自身がこの案を支持した。ジルマール・メンデス判事は、パシェコ氏に直接反論し、「上院議員たちの努力は感動的だが、効果的ではない」と述べた。