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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=87

2024年1月30日

 三年前、私たち六家族が入植したこのカラムルー植民地は、すでに両側が開墾され、今では六〇家族の棉作地帯と膨れ上がりました。みんな日本移民の家族です。今年の初めに弟の浩二は青年会の会長に推され、放置されていた会館を修理したり、グランドの整備をしたりして頑張っています。会員も五〇余名いて、来年の汎ノロエステ野球大会には出場するんだと励んでいます。器用だし、融和性もあるので結構うまくやってるみたいで私も助かっています。
 
 ここまで書き進めてきて、律子は急に淋しくなった。今まで家庭の采配は自分が振るってきた。病魔と貧乏から解放されるために、日夜を厭わず励んできた。隆...
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