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パラグアイ・ビジネスニュース=日本とパラグアイ友好関係強化へ=岸田首相が3日に首脳会談で

2024年5月23日

岸田首相と握手するペーニャ大統領
岸田首相と握手するペーニャ大統領

 【11日付パラグアイ・ビジネスニュース】 3日、日本の岸田文雄首相がパラグアイ共和国を訪問し、パラグアイのサンティアゴ・ペーニャ大統領と首脳会談を行った。最初の訪問先のひとつは政府宮殿で、大統領に迎えられた。
 「岸田文雄首相、パラグアイへようこそ。私たちは、両国の利益のために、二国間関係を深めていく決意です」とペーニャ大統領は自身のソーシャルネットワークに書き込んだ。
 岸田首相のパラグアイ訪問は、政治的、経済的、文化的なつながりを深める機会となり、その内容は多岐にわたる。岸田首相はパラグアイの大統領や政府関係者との会議を行い、教育、技術、経済の分野での協力を進めるための複数の協定に署名した。
 また、首相は日系コミュニティとの会合を持ち、文化的な交流と相互理解を促進するための対話を行った。
 これらの活動は、両国間の絆を強化し、将来的な協力の基盤を固める重要なステップとなった。
 ペーニャ大統領は、公式訪問の枠組みの中で、岸田首相に「特級大十字章」の国家功労勲章を授与した。大統領は、両国関係を新たなレベルに引き上げ、協力を深めたいとの意向を強調した。

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パラグアイ・日本経済会議

 ペーニャ大統領は、岸田首相とともにパラグアイ・日本経済会議に参加した。トヨトシビルで行われた活動の中でペーニャ大統領は、パラグアイは日本と新たな歴史の1ページを刻むという決意を表明した。また、パラグアイ産の肉を楽しんでもらいたいと語った。
 岸田首相は日本企業によるパラグアイへの投資拡大を奨励した。特に注目されたのは、教育と技術の分野での協力強化であり、日本は若者の技術教育プログラムや研究開発の支援を通じて、パラグアイの持続可能な経済成長を支える意向を示した。
 日本からの技術やノウハウの導入は、パラグアイの産業やインフラの向上につながると期待されている。また、環境問題に対する協力も、両国の連携を強化する重要な分野であり、気候変動の影響は世界的な課題となっており、パラグアイと日本が協力して持続可能な解決策を見つけることは、両国だけでなく地域全体にとっても大きな意義を持つことになる。
 パラグアイの肉製品が日本市場に輸入されることの重要性が議論され、両国の貿易関係強化に向けた話し合いが行われた。
 ペーニャ大統領は、我が国で生産され重要な市場に輸出されている肉がいかに美味しいかについて岸田首相に語った。また、我が国の強みである、米、ゴマ、トウモロコシの生産に加え、大豆などの商品市場を強調した。「岸田首相、本日パラグアイにご来訪いただき、多くの企業家の方々をお連れいただいたことは、大変喜ばしいことです。皆さんはパラグアイへの投資という形で、私たちのパートナーとして温かく歓迎いたします。この機会を通じて、パラグアイと日本は、真の友人、真のパートナーとして共に歩んでいくことができるでしょう」と結論づけた。
 ペーニャ大統領は、「パラグアイは日本にとってかけがえのない友好国であると確信しています」と述べた。また、パラグアイを世界に溶け込ませたいと表明し、日本や中華民国(台湾)のような同盟国や友好国のおかげで、アジアの大市場への参入の第一歩を踏み出すことができると指摘した。

パラグアイ日系社会との懇談会の様子
パラグアイ日系社会との懇談会の様子

日系社会への感謝

 岸田首相は、今年で88周年を迎えるパラグアイの日系社会への初訪問の際、日系社会との会談を行った。
 この活動は温かい歓迎の中で行われ、日本の政府関係者は両国の間に存在する友好関係に感謝の意を表した。「パラグアイの日系コミュニティは、政治、商業、技術など幅広い分野での活躍で際立っています。女性や若者の目覚ましい活躍は特筆に値します。ここで活躍する皆さんは私たちにとって大変貴重な存在であり、日本政府は皆さんの活動を強力に支援していきます」とコメントした。
 首相は、研修プログラムの実施、ボランティアの派遣、日本語教育などの活動を続けていくと述べた。これに関して、南米とカリブ海地域のコミュニティのための新しい交流プログラムを立ち上げることを決定し、その結果、今後3年間で約1千人の交流を達成するとコメントした。
 パラグアイ日本・日系人会連合会の堀田副会長は、岸田首相を温かく歓迎し、首相のパラグアイにおける重要性を強調するとともに、日本からの移民が今日に至るまで生産システムの発展に努めていることを語った。「日本人移民の第一世代は、パラグアイで果物や野菜を生産する原動力となり、現地の食生活を豊かにし、生活の質の向上に貢献しました」と同氏は説明した。また、輸入穀物であった大豆の栽培を取り入れることで、パラグアイは自給自足を達成し、現在では大豆の世界第4位の輸出国となったと指摘した。
 また、「こうしたパラグアイ社会への貢献は、在パラグアイ日本国大使館や国際協力機構(JICA)を通じた母国からの継続的な支援のおかげである」と感謝の意を述べた。
 両国の国際交流の基本である、日々の努力による労働や農業発展への貢献といった価値を新しい世代に伝えることで、魅力的な存在であり続けるための活動を今後も創造していくことを強調した。

記者会見の様子
記者会見の様子

記者団への声明

 岸田首相は、アスンシオンでのペーニャ大統領との会談の最後に記者団に発表した声明の中で、「複雑な」国際危機の中で、パラグアイとの関係は「ますます重要になっている」と語った。
 パラグアイ政府の本拠地であるロペス宮殿の関係者は、「今年はラテンアメリカとカリブ海の年だ」と付け加えた。この意味で、同氏は、来年11月にリマで開催されるアジア太平洋経済協力フォーラム(APEC)と、ブラジルが議長国となるG20サミットがこの地域で開催されることを強調した。
 岸田首相は、国際社会でますます重要な役割を担う地域との協力強化に関心を表明した。友好関係をさらに強化し、両国が共に発展する未来を築いていくことが重要である。


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