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日系農業功労者4人を顕彰=第53回山本喜誉司賞授与式=山添、大谷、飯崎、黒沢4氏

2024年12月3日

前列が受賞者の皆さん(左から飯崎夫妻、黒沢夫妻、山添夫妻、大谷夫妻)
前列が受賞者の皆さん(左から飯崎夫妻、黒沢夫妻、山添夫妻、大谷夫妻)

 日系人農業従事者の中から農業に大きく貢献した人を顕彰する「第53回山本喜誉司賞授与式」が、11月1日午後7時から聖市のブラジル日本文化福祉協会貴賓室で行われ、今回は山添源二、大谷周、飯崎貞夫、黒沢忠吉の4氏が受賞した。同式典では受賞者の4氏と家族が表彰され式典プレートと記念品が送られた。

山添源二氏
山添源二氏

 山添源二さん(89歳、2世)さんは、97%伐採された大西洋岸森林の再生、保全の為、同地に居住する小農に同森林の在来種であるジュサーラ椰子を基幹作物とした森林農法を普及し、同沿岸森林の違法伐採に依存しない持続可能な農法を確立するための産学官合同プロジェクト形成に協力した。

大谷周さん
大谷周さん

 大谷周さん(85歳、兵庫県)は、1963年に兵庫県立兵庫農科大学(現、神戸大学)を卒業後、大学時代の友人2人と共に渡伯。農村地域で様々な職を経験し、1976年からコチア産業組合の農業技師として従事。JICAから派遣された後沢憲志博士の指導のもと、サンタカタリーナ州サンジョアキンで日本原産のリンゴの順化と生産を担当した。1987年にフェイジョア果実の苗木(マウンテインググアバ)の生産を開始、2020年になって初めて第4世代の接ぎ木、苗木によって600フィート果樹園の形成に成功し、今年の収穫量は6・5トンを超えた。

飯崎貞夫氏
飯崎貞夫氏

 飯崎貞夫さん(83歳、北海道)はブラジルヤクルト商工(株)にて副社長を務め、1992年に官僚的な障壁を粘り強く乗り越え、和牛の血統の輸入登録をブラジルで成功させた。1994年に和牛の系図記録を管理する権利を持つブラジル和牛生産者協会(ABCBRW)を設立した。同氏が行ったこの先駆的な事業のおかげで、当地には純粋和牛と商業和牛に分類された1万7千頭の以上の和牛がいる。

黒沢忠吉氏
黒沢忠吉氏

 黒沢忠吉氏(84歳、2世)は、サンパウロ大学やボツカツ大学の農学部教授として、植物病理学の教育と研究に専念。トマトに関する研究で、修士号、博士号、そして准教授資格を取得。また細菌性萎凋病に強い加工用トマトの品種を3種類も発表。約50本の論文を学術誌に発表し、100本以上の研究を学会で発表した。
 受賞者からの感想として、山添さんは「まさか受賞するとは思っていませんでした。ここまでこれたのは協力してくれた多くの人のおかげです」と驚きと喜びの胸中を述べた。また、大谷さんは「皆に薦めていただき背中を押していただけたおかげでこのたび受賞することができ、嬉しい限りです」と喜びを述べた。
 同氏の妻シズカさん(83歳、2世)の父・故池田寅之助さんも耐病性が強く生産性の高いピーマン池田種を作るなどで1973年に同賞を受賞している。シズカさんも「この度の受賞、本当に嬉しく思います。家族はもちろんですが、父も喜んでいると思います」と述べた。
 2021年に蔬菜類の育種、様々な野菜の交配種、イチゴのビールス・フリー苗等の開発、肥培管理の指導と普及の功績で同賞を受賞した岸本晟さん(84歳、兵庫県)も式典の後日、大谷さんの受賞に対して「山本喜誉司賞受賞を心からお慶び申し上げます。ブラジル移住の大兄の集大成である受賞は同じ兵庫農大出身者としても嬉しく、当時の指導教官の先生方にも喜んで頂けるでしょう」と祝福の言葉を送った。
 岸本さんは大谷さんと同じ兵庫農大出身で、大谷さんとは2年間同級生だった。岸本さんは、3年の時に休学し、日本学生海外移住連盟第2次南米学生実習調査団として11カ月在伯した後、同大学を卒業して渡伯移住した。


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