ブラガ・ネット=弁護士交代で波紋呼ぶ=大事件扱った有名人に=司法取引巡り思案交錯

連邦警察のクーデター捜査の一環で逮捕された、22年の大統領選でボルソナロ前大統領の副候補を務めたヴァルテル・ブラガ・ネット容疑者(予備役陸軍大将)が逮捕4日後に弁護士を交代させた。この動きにより、同容疑者が司法取引に応じ、ボルソナロ氏に不利な証言を行う可能性も囁かれている。18日付UOLサイト(1)(2)(3)が報じている。
ブラガ・ネット氏が新たに雇ったのは刑法学者のジョゼ・ルイス・デ・オリヴェイラ・リマ(通称ジュッカ)氏だ。同氏はルーラ政権で官房長官を務め、メンサロン事件やラヴァ・ジャット作戦で有罪となったジョゼ・ジルセウ氏、連続強姦で有罪となった医師のロージェル・アブデルマッシ氏、ボルソナロ政権期の連邦貯蓄銀行(CAIXA)総裁だったがセクハラ疑惑で解任されたペドロ・ギマリャンエス氏の弁護を担当している。
また、ジュッカ氏はラヴァ・ジャット作戦で解任された建設企業OAS社長のレオ・ピニェイロ氏の司法取引を申し出た最初の弁護士だったことでも知られている。それが連邦検察庁に却下された後、ジュッカ氏はこの件での弁護を降りたが、後任弁護士によって司法取引が成立。ピニェイロ氏の供述内容は、2017〜18年の裁判でルーラ氏が有罪とされる決め手としても使われた。
ジャーナリストのアギーレ・タレント氏は、「今回はまだ、司法取引の動きは起きていない」としながらも、ジュッカ氏に関しては「司法取引を弁護の手段として使用することを心得ている人物だ」と評価。ブラガ・ネット氏が司法取引に動く可能性を示唆している。
仮にこの司法取引が実現すれば、ボルソナロ陣営にとっては寝耳に水の事態となる。ボルソナロ氏はブラガ・ネット氏が逮捕された際、「捜査で決着がついた後に逮捕されるとは」との言葉を残しているが、それはボルソナロ氏が「ブラガ・ネット氏による司法取引は行われないと見ていることの表れ」としてとらえられていたからだ。
ただ、アギーレ氏は、たとえジュッカ氏が担当につこうが、警察や司法機関がブラガ・ネット氏の司法取引に応じる可能性は極めて低いだろうと見ている。「それは、ブラガ・ネット氏がクーデターの首謀者の一人として見られており、そのことを示す証拠も見つかっているため」だという。
ジュッカ氏自身も、18日付エスタード紙でブラガ・ネット氏に関して語っており、「依頼人は何のクーデター計画にも参加していない。だが、司法取引を行うつもりはない」と、その可能性を否定している。
こうした状況の中、18日にダッタフォーリャによる世論調査の結果が発表された。それによると、「ボルソナロ氏はクーデター計画に参加したと思うか」の問いに52%が「したと思う」と答え、「していない」の39%を上回っている。
また、「23年1月8日の三権中枢施設襲撃事件の関係者に恩赦法を適用するべきか」の問いには、62%が「すべきではない」と答え、「するべき」の33%を倍近く上回っていた。