連邦議会=予算基本法は順調に承認=歳出削減効果削ぐ修正も

【既報関連】23日からの休暇入りを前に、連邦議会は通常の委員会開催を控え、本会議を優先するという特別体制を敷いて各種法案の審議に努めているが、連邦予算基本法(LDO)は順調に承認され、政府関係者を安堵させた一方、歳出削減パック関連法案の審議では削減効果を損なうような修正が加えられたり、与党議員の一致が乱れて審議が遅れたりして、市場や政府の気を揉ませている。
17、18日付アジェンシア・ブラジル(1)(2)によると、両院合同予算委員会は17日夜、両院合同本会議は18日にLDOを承認し、大統領裁可に回した。LDOは25年の基礎的財政収支の赤字をゼロまたは上下に国内総生産(GDP)の0・25%(310億レ)の幅にすることが大前提で、最低賃金を1502レに定めている。最賃額は並行審議中の歳出削減パック関連法案の承認後、変更される可能性がある。
また、連邦政府が財政目標を達成するために予算支出を削減する必要がある時も予算を凍結できない16項目を規定。具体的には、国境システム、森林開発国家基金、マナウス自由貿易地域の監督、先住民族支援、児童青少年や高齢者向けの国家基金、戦略的鉱物資源の採掘を監督し、採掘権を付与するための分析経費、家族農からの食品入手と配布、農村保険などが含まれる。
また、政党向けの特別財政支援(政党基金)は前年のインフレ率+2・5%を上限とすることも規定。最高裁が使途や送金額の透明性に疑問を呈したPIX割当金と呼ばれる議員割当金については、目的と額を含めた作業計画を事前に通知することも規定している。計画通知がない場合は割当金の支払いが停止される可能性がある。
また、ペトロブラスや傘下企業、原子力発電所やイタイプの双国発電所関連企業の収支は基礎的財政収支の目標に含めないこと、新経済活性化計画(新PAC)の投資予算は50億レまでとすること、24年予算として総額57億レの特別融資を開始することも認められた。
17日付オ・グローボなど(3)(4)(5)(6)(7)(8)によると、下院での歳出削減パック関連法案審議は、最初の法案の本文が17日に承認され、好調かと思われたが、18日には自動車の第3者損害賠償責任義務保険の徴収が停止された上、財政収支が赤字の場合の連邦政府による議員割当金支払い停止措置が一部に限定され、歳出削減効果が削がれた。
これにより、18日はドルが高騰したが、18日付G1サイトなど(9)(10)によると、下院議長は賛成票が確保できない可能性ありと判断し、2最賃までの正規労働者へ給与ボーナス(アボノ・サラリアル)の段階的削減などを扱う憲法改正補則案(PEC)と、最低賃金の実質増額上限や高齢者や障害者への継続的扶助給付金(BPC)の規定見直し法案の審議を19日に延期した(18日付G1サイトなど(11)(12)(13)参照)。
PECは19日午前中の審議で1回目の承認を得、午後に2回目の投票となるが、基礎拠育の維持・発展のための基金(Fundeb)の2割を全日制校支援に使う案は割合が減らされた。もう一つの法案も、最賃額の調整では政府案が維持されたが、BPC規定は原案より緩やかなものとなった。それでも、軽度の障害者への支援が制限されるなどの影響が出る見込みだ。
PECや法案の修正は歳出削減効果減少を意味するため、ドルは19日も高騰し、新記録を更新。19日付G1サイト(14)によると、ハダジ財相や政府は各種法案承認後、削減効果が削がれた分を埋め合わせるための追加措置を講じる必要の有無を判断することになるとの見方も出ている。