Selic=1・0%P増の年13・25%に=ガリポロ新総裁就任初回で=市場は喜び、PTは落胆

1・0%という大幅な引き上げは、昨年12月の会合での1・0%P引き上げに次ぐものだが、前回会合後に同様の引き上げが予告されていたため、市場には何の驚きもなかった。1・0%Pの引き上げは、Copomに参加している中銀総裁と理事計9人が満場一致で決めた。
その背景には、2024年12月もドル高が進み、中銀が巨額のドル売りで抑制を試みても6レアルを超える状況が続いたこと、また、24年のインフレが政府目標上限を超える4・83%を記録した上、さらに上昇するとの懸念が広がっていたことがある。
ルーラ政権としても、食品部門で強いインフレが起こり、政権支持率にも影響していただけに、物価を抑制する必要に迫られている。
Copomは今回の決定に関し、「インフレを目標値以内に収斂させることを主眼におき、金融引き締めを強化させていきたい」と発表。今後もインフレ抑制を第一とする立場を崩さず、Selicを決めていくことを明言している。
これはルーラ政権にとっては皮肉な結果となった。同政権は、ボルソナロ政権の時から在任していたロベルト・カンポス・ネット前総裁がインフレ対策を理由にSelicを高止まりさせていたことを不満とし、同総裁への批判を繰り返していた。ルーラ大統領も同総裁を幾度となく批判しており、その発言が「市場干渉」と解釈され、ドルや株価に否定的反応が起きることもしばしばだった。
特に、2022年8月からは2023年7月までの1年間、13・75%で据え置かれ、「これでは消費活動が活性化されない」との不満の声も上がっていた。
Selicは23年8月から下がり始め、24年5月には10・50%まで下がった。だが、インフレ懸念が再び強まり、24年9月に0・25%P、11月に0・5%P、12月に1・0%Pと上がっていた。
中銀総裁は大統領の意向では解任できないため、ルーラ氏はカンポス・ネット氏の任期が切れるタイミングを待ち、フェルナンド・ハダジ財相の右腕で財務省ナンバー2だったガリポロ氏を指名、就任に導いた。だが、就任早々、1・0%PのSelic引き上げとなった。
Copomは昨年9月からガリポロ氏を含めた全会一致の決議で利上げを繰り返していた。彼の立場が総裁に変わった途端に会自体の方針が大幅に変わることは通常あり得ず、市場の大半が前回予告された通りの1%引上げを想定していた。