中南米諸国の日系農業者が交流=第2回日系農業者等連携強化会議

日本の農林水産省からの委託で中央開発株式会社(CKC)が実施した「第2回日系農業者等連携強化会議」と農業現場視察が1月31日、2月1日の両日、サンパウロ市とモジ・ダス・クルーゼス市で開かれた。オンライン参加を含め、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ボリビア、ペルー、コロンビア、メキシコなど中南米諸国の日系農業者及び農協関係者のほか、在外公館関係者も出席。日本と中南米日系農業者の交流が行われた。
1月31日午前9時からサンパウロ市リベルダーデ区の宮城県人会館で開催された「第2回日系農業者等連携強化会議」は、CKCグローバルセンター海外技術部専門課長の余川(よかわ)達郎氏の司会で進行した。最初に農林水産省輸出・国際局審議官の常葉光郎(ときわ・みつお)氏があいさつ。
今回の初来伯でパラー州トメアスーやミナス・ジェライス州等の日系農業地域を訪問したことに触れ、「今年は日伯友好交流130年の記念すべき年で、両国で盛り上げていくことの思いを共有できた」と述べた。
引き続き、中南米各国の農業関係者など出席者が一人ずつ紹介された後、昨年9、10、11月に訪日した「生産性向上」と「循環型農業」の事業参加者による発表が行われた。
2024年9月28日~10月18日に実施された「生産性向上」コースについては、パラナ州ロンドリーナ市から参加したSICOOB(ブラジル信用組合システム)の平岩ジョージ氏が発表。土壌改良技術や農産物の高付加価値化など日本の最新農業技術を学び、農業展示会及び研究機関や、実践農家訪問などを行ったという。
平岩氏は、1994年のコチア産業組合、南伯農協の解散後、ブラジル日系農家にとって長年の空白期間があったことに言及。今回の訪日事業参加により、「改めてブラジル農業界の活性化と再生可能な農業をどのように行っていくかを考えるにあたり、日本の農業から学ぶことは多い」と述べ、日本側への感謝の気持ちを表した。
24年10月19日~11月9日に行われた「循環型農業」コースでは、パラグアイ・イグアス農協の干場健(ほしば・けん)氏が発表。日本の減農薬栽培、循環型農業の取り組みなど最新技術を学び、農業展示会・資材企業訪問や有機廃棄物堆肥化の取り組み等を視察したという。干場氏は「有機残渣(ざんさ)を処理する過程でメタンガスを生成するなど、経済収益を上げながらも楽しみながら満足をもたらす農業を見ることができ、良い経験になった」と率直な感想を語っていた。
その後の意見交換では、各国地域での若手農業者の減少と後継者問題について日本側からの支援を要望する声があり、農水省側からは日本への農業研修や技術指導などの間接支援による対応を今後も行っていく考えが示された。
また、日本各地で行われている「道の駅」の南米諸国での実践に向けた取り組み方法や、小農対策への支援、日本のパッキング技術導入、中南米諸国で普及されていない小型農業機械導入を求める声もあった。
休憩を挟んで、午前11時過ぎからは農業技術交流プログラムとして、徳島県で柚子(ゆず)生産を行う「株式会社黄金(おうごん)の村」の神代晃滋(かみよ・こうじ)取締役と、有機葉面散布肥料オルガミンの販売を行う「株式会社パルサー・インターナショナル(東京都、井上倫平代表取締役)」の玉田尚宏営業主任がそれぞれ自社の活動内容を説明した。
その後、中南米各国の出席者は2カ所のテーブルに分かれ両社の詳細内容について、それぞれ質問を行うなど意見交換を行っていた。
午後からは、「生産性向上」「循環型農業」「女性部活動」の分科会なども行われた。
なお、前述2社の詳細内容と2月1日のモジ・ダス・クルーゼス市での農業現場視察については別記事で掲載する。