ルーラ訪日=6年ぶりの国賓待遇で3月=両陛下と会見、首脳会談も

ルーラ大統領が3月24~27日に国賓として日本を訪問し、皇居で天皇・皇后両陛下に迎えられた上、石破茂首相との会談も行うと12日付mix valeなど(1)(2)(3)(4)(5)(6)が報じた。
今回の訪問は、2019年のトランプ米大統領(当時)の訪日以来、日本が主催する初の国賓訪問だ。また、今回はブラジルと日本の外交関係樹立130周年とも重なり、両国間の歴史的、経済的、文化的パートナーシップをより強固なものにするという意味合いもあり、経済協力や持続可能な開発、ブラジルと日本の二国間関係強化を強調する外交上の画期的な出来事と評されている。
具体的な日程は、3月24日:日本到着、日本当局との外交会談、25日:天皇・皇后両陛下主催の宮中晩餐会出席、26日:石破茂首相との首脳会談、貿易や投資、経済協力などの協議、27日:民間部門のリーダーとのビジネスイベントや会議、テクノロジーとインフラにおけるパートナーシップなどに関する協議となっている。
ブラジルと日本の商業関係は数十年間にわたって大きく成長しており、日本はブラジルにおける最大の外国投資家国の一つだ。ルーラ氏はパートナーシップ強化や、日本市場へのアクセスを拡大する貿易協定締結、日本企業の参加による太陽光、風力、グリーン水素エネルギープロジェクトの奨励(クリーンエネルギーへの投資)、人工知能や電気通信、産業革新の発展に向けた協力や技術の拡大により、両国関係を拡大・強化する予定だ。
また、外交関係130周年を迎え、日本国外では最大の日系コミュニティを有する国として、インフラ・科学・教育における協力協定による国家間の統合強化や、大豆、牛肉、鉄鉱石を中心とする伯国産品の輸出促進を図る意向だ。
南米最大の経済国のブラジルは日本にとって重要な戦略的パートナーだが、日本訪問はブラジルにとってもアジアにおける存在感強化につながり得る。このため、国家間の商業や外交関係の拡大・強化、自動化、都市交通、人工知能の分野での技術協力の強化、持続可能性やエネルギーの安全保障、経済安定などの地球規模の問題に対する共同行動などを協議することで、日本のサプライチェーンの多様化や中国・米国などの市場への依存度低減、商業や産業でのパートナーシップ拡大による原材料供給国としてのブラジルの立場の強化、安全保障と技術分野での協力深化も望める。
今回の首脳会談では、いくつかの分野で新たなパートナーシップや投資が生まれる可能性がある。自動車産業はその一例で、ブラジルでの日本メーカーの生産拡大への合意締結の可能性がある他、航空システムやサイバーセキュリティのような航空宇宙及び防衛技術での協力を含む、最先端技術分野での投資契約が生じる可能性がある。また、気候政策に関する協力による持続可能な経済成長促進や、日本で拡大する需要を満たすためのブラジルからの食品輸出増加も奨励される見込み。
ブラジルは今年のBRICS会議議長国を務め、環境国際会議のCOP30開催など、多国間フォーラムで活動。発展途上国に利益をもたらす経済政策を擁護し、再生可能エネルギーでリーダーシップをとっている他、持続可能なプロジェクトへの外国資本誘致なども図っている。