日本発の環境型農業=注目の「ヤマカワプログラム」(8)=農園エスペランサを訪ねて

ヤマカワプログラム一行は、農業技師の平井ロベルト・ダイサクさん(66歳・2世)とその息子で農園を持つ平井・ノダ・ファビオ・ノボルさん(35歳・3世)に同行して2024年11月21日午前、ジュアゼイロ市東部の農園エスペランサ(Fazenda Esperança)を訪問した。
同農園は、ジュアゼイロで8年以上に亘って経営されている。作物は国内販売用マンゴー。約12・5ヘクタールを管理しており、ヤマカワプログラムは2023年10月から試験的に導入し、現在では4ヘクタールで試しているという。
同農園を管理する社員のマルセロ・アウグストさんは、ヤマカワプログラムを導入して1年経った結果、畑に大きな変化があったと語る。「以前は、硬盤層の影響で雨が降ると地面に水が溜まってぬかるみができ、そのぬかるみが靴にまとわりついて大変でした。でもヤマカワプログラムを導入した所、それがかなり改善されました。また以前は大量に肥料を使っていましたが、今では85%以上を減らすことができています。収穫されたマンゴーは、より健康的で甘味が強く、驚いています」と喜びを語る。
マルセロさんは、同農園の土地が、エンブラパ(EMBRAPA)やコデバス(CODEVASF)といった農業や水資源管理に関する研究と開発を行う機関から農業に適さない地域だと指定されていたことを明かし、「ここの土地では銀行の融資も認めてもらえませんでした。でもヤマカワプログラムを行った結果、土壌が大幅に改善され、良い作物が取れるようになり、本当に夢のようです。今は4ヘクタールですが、今後は所有する12・5ヘクタールすべてに導入しようと思っています。将来は日本に行き、ヤマカワプログラムを行っている畑をこの目で見たいです」と語った。
船戸さんらは、同農園の土を掘り、各種測定を行って、改善された土の様子を確認した。
船戸さんは、マルセロさんに土壌改善の仕組みや自然の力を最大限に引き出してその力を活用すること、また農業を通じて環境改善を行うことの重要性などをアドバイスした。
船戸さんは、「土壌が改善され、自然にとって良い環境が整いつつあります。これからもっと良くなると思います。調査機関が出した評価によって、銀行融資がおりなかったことをマルセロさんは述べていましたが、それはあくまでも投資家や銀行による『人間の判断』だけのこと。自然の力はまだ人間が理解しきれないことが山ほどあり、この土地のポテンシャルは大きいと思います。改善された今を再スタート地点とし、作物が生きやすい土壌環境開発を継続し、より美味しいマンゴーが採れることを期待しています」と述べた。(続く、淀貴彦記者)