ルーラ=ロシア式典参加に懸念の声=中立のつもりが反米的立ち位置?=来週には中国国賓訪問も

ルーラ大統領は7日からロシアを訪れ、同国の第2次世界大戦の対ドイツ戦勝利を祝う式典に参加した。この式典参加を始めとしたルーラ氏の外交政策に対し国内で懸念の声が上がっている。
ルーラ大統領は現地時間7日12時15分にモスクワに到着。第3期政権においてルーラ氏がプーチン大統領と直接面会を行うのはこれが初めてのことだ。8日、ルーラ大統領はロシア政府が主催したクレムリンでの公式晩餐会に他の参加国の首脳たちとともに出席した。大統領府が公開した写真では、ルーラ氏がプーチン氏と、通訳と思しき女性を間に挟んで会話を行っている姿が映し出されている。
ルーラ氏がこの翌日に参加した9日の第2次世界大戦勝利式典は、同国では伝統的に1年で最も重要視される祝日とされている。(1)
特に今年は80周年ということで盛大な規模で行い、参加国も29カ国に及んでいる。伯国以外では中国、キューバ、インドネシア、ブルキナ・ファソ、ベトナム、エジプト、ジンバブエ、イラク、ミャンマー、エチオピア、赤道ギニアなど。スロバキア、セルビア、ボスニアなど東欧3国がEUのロシア政策に逆らうように参加していることにも注目が集まっている。(2)
ルーラ氏の式典参加は伯国内で疑問視する声が目立っている。それは今回の式典の主催がプーチン大統領である上に、中国の習近平国家主席、キューバのミゲル・ディアズ・カネル国家評議会議長、ベネズエラのマドゥーロ大統領などの専制国家元首から、リベラル層から「権威主義的ポピュリスト」と批判されることもあるスロバキアのロバート・フィコ首相まで多く参加しているためだ。
8日付CNNブラジル(3)は、ルーラ氏は〝外交的中立性〟をこの訪露に意図したのかもしれないが、ロシアとのイデオロギー的連携を強める結果になるのではないかと一部で懸念の声が強まっていると報じている。
7日付エスタード紙(4)は、この式典はロシアがソ連時代に「ナチスと戦って勝利した」ことを強調することでナショナリズムを高揚させる役割を担っているという。今回の場合は、ウクライナ紛争以降に受けた国際的に孤立から脱却を図るために、「反ナチズム」がプロパガンダとして利用されていると見る向きも少なくない。
ルーラ氏はこの後、アメリカと貿易戦争を繰り広げる中国を国賓待遇で訪問する。ここでは中国とラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の共同フォーラムに参加することが目的だが、ロシアの式典の直後だけにルーラ氏の言動や方向性などが注目されている。
今回のロシアや中国の訪問はアレッシャンドレ・シルヴェイラ鉱山動力相、ルシアナ・サントス科学技術相の帯同させ、商業的協約を締結させることも目的としている。(5)
ルーラ氏は8日に受けた米国の雑誌「ニューヨーカー」での取材で「トランプ大統領は自分に話しかけもしない」「中国がいてくれて助)かった」との発言も行っている。(6)