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イスラエル・イラン紛争=肥料価格の上昇など招く=ブラジル農業界も影響不可避

2025年7月10日

イスラエルとイランの紛争でブラジルの農業界にも影響(17日付エザメ誌サイトの記事の一部)
イスラエルとイランの紛争でブラジルの農業界にも影響(17日付エザメ誌サイトの記事の一部)

 イランの核兵器開発阻止を謳い文句とするイスラエルによるイラン爆撃は、イラン側からの報復攻撃を招き、双方で多数の死傷者が出る事態を生じさせているだけでなく、肥料価格の高騰などによる影響がブラジルの農業界にも及び始めたと17日付エザメ誌サイト(1)が報じた。
 肥料価格高騰は、イスラエルとイランの紛争激化により、茎や葉の生長を促す窒素成分を多く含む上、水溶性が高く、即効性も期待できるため、追肥に向いているとされる尿素肥料の生産が停滞していることが原因だ。
 肥料の先物価格は米国や中東、ブラジルなどで上がり始めている上、尿素肥料は、ブラジルでは大豆に次ぐ主要産物であるトウモロコシの栽培に欠かせない。ブラジルは肥料の85%を輸入しており、2024年の場合、イランは全輸入量の17%を占めていた。
 米国や中東、ブラジルでの尿素肥料の先物価格の値上がりは、16日発表のStoneXのレポートで明らかになった。
 コモディティのコンサルタント会社アルガスによると、肥料価格が下落していた12日のブラジルにおける粒状尿素の平均価格は398米ドル/トンだったが、13日には430米ドル/トン、16日には435米ドル/トンに上がっている。
 同社によると、価格上昇は中東の政治情勢だけが原因ではなく、先物市場の上昇と、現物市場への参加者の不在による影響も受けたものだという。
 StoneXのトマス・ペルニアス氏によると、イラン、イスラエル両国の肥料生産工場は直接的な被害を受けていないが、今回の紛争により、両国における尿素肥料の供給量は大幅に減少しているという。
 肥料の減産は紛争の影響を直接受けているイランだけではなく、肥料生産がイスラエル産のガスに依存しているエジプトも、生産の一部を停止しており、12日現在の尿素の価格は年初比で9%値上がりしていた。
 尿素の価格は24年も11%上昇していた。これは、肥料の主要生産国である中国からの供給不足とインドなどでの需要増が原因だが、現在は先行きがより不透明になっている。
 肥料不足の影響が案じられるのは7月1日から始まる2025/26農年の農業生産だ。現在は収穫期が近づいているが、多くの生産者は肥料を確保できていないという。
 ブラジルでは肥料の消費と配送は下半期に集中しており、今後数カ月間は消費量が増える見込みだが、供給量の不足と価格上昇は、作物の品質と収量確保のために尿素に依存しているトウモロコシ生産者のコスト増を招き、利益率をさらに圧迫する上、食料価格に連鎖的な影響を及ぼし、物価も押し上げると見られている。
 また、原油価格も上がり始めており、生産コストや輸送コストの高騰を招き得る。ブレント原油は13日の時点で7・02%上昇し、1バレル74・23米ドルを記録。農産物輸送の半分以上を担うトラックの燃料であるディーゼル油の値上がりに伴う輸送費や物価全般の上昇も懸念されている。


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