Descobrindo Japão=公立校生徒に日本文化授業=560人が参加、支援呼び掛け
JICAサンパウロ帰国研修員同窓会(ABJICA)らが取り組む教育福祉事業「Descobrindo Japão」が今年末に事業開始5周年を迎える。同事業ではサンパウロ市の公立学校に通う生徒を対象に日本文化学習支援を行っている。8月28日、同事業コーディネーターの今井恵美さんが編集部を訪れ、事業成果報告と今後の展開のための支援呼びかけを行った。
同事業は2021年に開始され、サンパウロ市の公立学校ARCY MAJOR校などに通う6~17歳の生徒を対象に、1回1時間45分の授業で、簡単な日本語や日本の地理、郷土文化の紹介、日本舞踊や剣道、押し花、折り紙などのワークショップ、「生きがい」についての講演などを行ってきた。これまで560人の生徒が参加した。
授業は選択科目の一つとして扱われ、自発的に日本文化を学ぼうとする学習意欲の高い生徒が参加するため、生徒たちの学習進度や授業に対する満足度は高い。日本留学や日本での生活に憧れる生徒にはJICAの研修制度などを伝え、夢実現のための具体的な道筋をつけてあげることもある。
コーディネーターを務める今井さんは日本で生まれ、15歳の時にブラジルへ移り住んだ。当地で進学し、金融業界に就職。ブラジル社会に馴染んでいくと同時に、日本文化の豊かさにも気づき、様々な日本文化普及活動に携わるようになった。「Descobrindo Japão」を企画し、現在もボランティアとして活動の中核を担っている。押し花絵を愛好し、講師としても活動している。
今井さんは「こつこつと努力を続けること」を重視する日本文化の特徴について触れ、「子供たちは日本文化を知ることで努力の尊さを理解し、それを台無しにするような非行に走らなくなります」と同事業が子供たちに及ぼす教育効果の高さを語った。
事業運営費用は個人や団体からの寄付で賄われており、文房具会社ACRILEX社やヒロタ・フード・スーパーマーケットなどからは教材提供を受けている。
今後はより安定した事業基盤確立のため、有償での企業向け日本文化講座の展開を模索している。これまで培ってきた日本文化授業のノウハウを企業の社員教育や社員のモチベーション向上に役立て、得た収益を講師手配費用などに充て、事業の継続性向上と内容の充実を図りたいという。
今井さんは「日本文化を伝えることがブラジルの社会をより良くすることに繋がると信じています」と述べ、事業への協力を呼び掛けた。
同事業の詳細問い合わせや寄付、企業向け日本文化講座の実施希望は今井さんのインスタグラム(@emy.imai)から受け付けている。