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【03日の市況・速報】Ibovespa一時18万7333ポイントまで上昇、過去最高値を更新/米系大手金融機関からは「バブル水準」への警告も/ベラルーシの独裁者ルカシェンコ大統領がルーラ再選支持発言で波紋

2026年2月4日

南米・ブラジルの金融市場・政策・国際情勢動向


ブラジル株式市場、歴史的高値圏も「バブル」の影

外国資本流入が過去最高を更新、国内政治と地政学リスクが交錯

 ブラジル金融市場が「熱狂」と「警戒」の狭間で揺れている。2026年2月3日のサンパウロ株式市場で、主要指数のボベスパ指数(Ibovespa)は一時18万7333ポイントまで上昇し、過去最高値を更新した。背景には資源価格の高騰と異例の規模に達した外国資本の流入があるが、米系大手金融機関からは「バブル水準」への警告も出始めている。一方、国内では金融機関の破綻や中央銀行人事を巡る不透明感が燻り、隣国ベネズエラ情勢の緊迫化が影を落とす。

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1. ボベスパ指数、18万ポイント超えの熱狂

 3日のサンパウロ市場は、鉄鋼大手ヴァーレ(Vale)など資源関連株が指数の上昇を牽引した。ドル安・コモディティ高の追い風を受け、指数は前日比1.58%高の18万5674ポイントで引けた。(

 市場関係者が驚嘆するのは、外国投資家の「ブラジル買い」の勢いだ。コンサルティング会社エロス・アイタの調査によると、2026年1月単月の外国資本流入額は263億1000万レアル(純流入)に達し、2025年通年の総額(約255億レアル)を一カ月で上回る歴史的な記録を樹立した。(

世界的な地政学リスクの高まりや、先進国に先行する中南米の利下げサイクルが、相対的に割安感のあったブラジル株への資金シフトを促している。特に鉄鉱石や金、希少金属(レアアース)などの価格上昇が、資源国ブラジルの優位性を際立たせている。


2. バンク・オブ・アメリカによる「バブル」警告

 しかし、この急騰に警鐘を鳴らすのがバンク・オブ・アメリカ(BofA)だ。同行のグローバル・デリバティブ・チームは、現在のブラジルを含む中南米株の上昇を「バブル的なダイナミクス」と定義した。

 BofA独自の「バブル・リスク指標(BRI)」では、リターン、ボラティリティ、モメンタム、市場の脆弱性を統合して算出するが、現在の数値は0から1のスケールのうち、警戒水準に接近している。同行は「現在のラリーは、かつての貴金属や韓国株で見られた熱狂に似ている」と分析。特に金属価格の上昇が投資家のポジションを過度に押し上げており、反転時の脆弱性が高まっていると指摘する。(



3. 国内金融の亀裂:フィクター・グループの経営危機

 市場の活況とは対照的に、国内金融システムには綻びも見え始めている。投資会社のフィクター・グループ(Grupo Fictor)は1日、負債総額40億レアルを超え、裁判所に事業再生(日本の民事再生法に相当)を申請した。

 危機の引き金となったのは、同社が買収を試みたマスター銀行(Banco Master)がブラジル中央銀行によって清算処分を受けたことだ。これによりフィクターに対する信用不安が連鎖し、顧客による預金引き出しは総資産の70%に相当する約20億レアルに達した。同社は5年以内の債務完済を目指すが、預金保険機構(FGC)の対象外となる投資形態が多いため、個人投資家への影響が懸念されている。(



4. 中央銀行人事を巡る思惑と「市場の抵抗」

 ルーラ政権による次期中央銀行理事人事も、市場の懸念材料となっている。ルーラ大統領は、ハダジ財務相が推薦したギレルメ・メロ氏(現財務省政策経済局長)とチアゴ・カバカンティ氏(ケンブリッジ大学教授)の起用を固めた。

 市場が特に警戒するのはメロ氏の起用だ。同氏は左派的な経済思想を持つと目されており、中銀の独立性やインフレ目標達成へのコミットメントを疑う声が根強い。ハダジ財務相は「市場の抵抗」を認識しつつも、大統領との調整を済ませ、上院の承認を取り付ける構えだ。金利引き下げを急ぐ政権と、規律を重視する市場の攻防は、今後の物価見通しを左右する重要な分岐点となる。(



5. ベネズエラ情勢と対米・対キューバ外交の変容

 中南米の地政学リスクも新たな局面を迎えている。米軍によるベネズエラ前大統領ニコラス・マドゥロ氏の拘束を受け、同地域における米国の影響力が急速に拡大している。

 注目すべきはキューバの動向だ。トランプ米政権による制裁強化とベネズエラ・ロシアからの支援途絶により、キューバの観光産業は2025年に前年比17.8%減と深刻な打撃を受けた。こうした窮状を背景に、キューバのフェルナンデス・デ・コシオ外務次官は、米国との「責任ある対話」の準備があることを認めた。トランプ氏も「キューバと合意に達するだろう」と述べており、冷戦以来の敵対関係が劇的な改善を見せる可能性が浮上している。(



6. ルカシェンコ氏の介入と外交的波紋

 こうした中、ベラルーシの独裁者アレクサンドル・ルカシェンコ大統領による発言が物議を醸している。同氏は駐ミンスク・ブラジル大使に対し、2026年のブラジル大統領選でルーラ氏の再選を支持する意向を示し、さらに「平和的な選挙執行のためにあらゆる支援を行う」と踏み込んだ。

 人権抑圧や選挙不正の疑いがある政権からの「支援提案」は、ブラジル国内で外交的な波紋を広げている。現政権は「民主主義の守護者」を自認する一方、権威主義国家との距離感を巡って野党側からの批判を招くリスクを孕んでいる。(



結論:2026年、ブラジル経済の分水嶺

 ブラジル株式市場の「18万ポイント超え」は、資源価格高騰という外的要因と、新興国市場への資金還流がもたらした果実といえる。しかし、その足元では、国内金融機関の流動性リスク、中央銀行の政治化懸念、そしてベネズエラ情勢に端を発する域内秩序の再編という三つの火種が燻り続けている。

2026年、選挙年を迎えるルーラ政権にとって、財政規律を維持しつつこの「バブル的」な好景気をソフトランディングさせられるかが、政権維持の鍵を握るだろう。投資家は、記録的なキャッシュフローに目を奪われることなく、急激な巻き戻し(リバース)のリスクに対してこれまで以上に慎重な構えが求められる。



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