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ブラジル若手日系政治家招へい=若手日系議員が語る「共創」構想=【第1回】=130年の先にあるもの

2026年2月20日

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 1895年の「日伯修好通商航海条約」締結から130年を記念して、公益財団法人笹川平和財団(東京都港区所在)はブラジルの若手日系政治家ら5人を日本に招いた。2月6日付同財団サイト(https://www.spf.org/asia-islam/news/20260206_2.html)によれば、1月30日、東京・虎ノ門で開かれた「日本・ブラジル相互理解促進セミナー」には、投資家や政府関係者、研究者ら約200人が参加。対面とオンラインを組み合わせた議論は、友好の確認にとどまらず、将来の協力を具体化する場となった。

 冒頭、同財団の萱島信子常務理事は「分断と不信が広がる今こそ、多様な主体が信頼で結び直される必要がある」と強調。続いて登壇した駐日ブラジル大使のオクタヴィオ・エンヒッケ・ジアス・ガルシア・コルテス氏は、130年の外交史を振り返り、「日本との関係は、ブラジルの農業、漁業、工業の近代化に確かな足跡を残した」と述べた。そのうえで「日系社会が育んだ人間性やコミュニティ精神は、混迷する世界における希望の灯火になり得る」と語り、歴史的な蓄積への敬意を示した。

 第1部講演では、慶應義塾大学の舛方周一郎准教授が、日伯関係を地政学上の「協力の要」と位置づけ、「日本の高度な技術と資本、ブラジルの資源と食料は補完関係にある。これをインドなどを含む多国間主義の枠組みで生かすべきだ」と提言。さらに「日系であることは二つの公共圏をつなぐ資産だ」と指摘し、会場にいた若手議員らの存在意義を明確にした。

 在日ブラジル人社会の現状も議題に上った。約21万人が暮らす日本社会での課題について報告した早田幸太郎氏(弁護士/日系人)は、「言語の壁や制度的な不備はあるが、彼らは両国を結ぶ〝見えない架け橋〟だ」と語り、共生政策の充実を訴えた。

 後半の第2部パネル討論では、日系議員らが率直な言葉を重ねた。キム・カタギリ下院議員は、「日本の治安、司法制度、インフラ技術、とりわけ自然災害対策から学ぶ点は多い」と述べ、「伝統や教育を守り抜く日本の姿勢は、私自身の政治理念にも通じる」と語った。一方で「ブラジル人のアドリブ力や創造性もまた、日本に新たな視点をもたらすはずだ」と応じ、双方向の学びを提案した。

 ペドロ・アイハラ下院議員は、かつての農業協力を踏まえ、「ブラジルは日本の技術成長のための研究所になれる資格がある」と発言。「依存ではなく、対等なパートナーとして価値を共に創り出すべきだ」と訴えた。ロドリゴ・ハヤシ・グラール・サンパウロ市議からも「日系人である以上に、一人のブラジル政治家として社会全体に貢献したい」との決意が語られた。

 討論の締めくくりで、登壇者たちは「次世代への継承」を誓い合った。日伯関係は、移民の歴史を共有する段階から、地政学や経済安全保障を見据えた戦略的協力へと軸足を移しつつある。130年の節目は終着点ではなく、新たな共創の出発点であることを、若手議員らの言葉が物語っていた。

 このセミナーは、笹川平和財団が日伯外交樹立130周年を記念して、ブラジルから5人の若手政治家とオピニオンリーダーを招へいし、日本およびブラジルの日系社会の次世代ネットワークの構築と相互理解の促進を図るために実施した「ブラジル若手日系政治家招へい」プログラムの一環。招へい者は、キム・カタギリ連邦下議、ペドロ・アイハラ連邦下議、ロドリゴ・グラール・サンパウロ市議会議員、羽藤ジョージサンパウロ市議、栗田クラウジオ・ブラジル日本文化福祉協会理事。(続く)



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