森の夢
小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=43
そんなことをした人間は、今まで一人もいなかった。何かに憑かれたような働き振りだったが、初めは、無謀で...2024年9月21日
小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=42
口惜しそうにわめく声があった。 「そうだ。確かに、騙されたのだ」 と彼はうなずいた。 政治家や殖民会...2024年9月20日
小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=41
有川が冗談とも本気ともつかぬ苦情を言った。 「ホッホッホッ」 周平は指についていたノリを丹念になめな...2024年9月19日
小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=40
井上新平は自哲の、いかにもインテリらしい感じのする青年だった。 周平は床に散乱した紙切れやブリキ片を...2024年9月18日
小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=39
「そうか……。夢のようだ」 何度も満足そうに頷きながら、周平は手を延して運平の手を握った。 「おめで...2024年9月13日
小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=38
「どうする。待つか?」 ベンソンの前で御者は訊ねた。 「そうだな。ちょっと待ってくれ」 運平は降りて...2024年9月12日
小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=37
運平はクリスマスを利用してサンパウロへ行った。上塚周平に自分が副支配人になったことを告げるためだった...2024年9月11日
小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=36
……車から降りて独りになった運平は、まだボンヤリしていた。すでに馬に乗っているのだが、習慣的に手綱を...2024年9月10日