ミサンガが生まれた場所=ボンフィン教会伝統の祭り

ボンフィン教会(Py4nf, via Wikimedia Commons)
ボンフィン教会(Py4nf, via Wikimedia Commons)

 ブラジル北東部のバイア州サルヴァドール市イタパジペ半島の高台に立つカトリック寺院「ボンフィン」が創立270周年を迎え、お祝いムードで華やいでいる。11日には伝統の「ボンフィンの洗礼」が行われ、世界各地から大勢の観光客が集まり、バトゥッキ(バイア伝統の打楽器)の音色が響き渡った。このイベントは同地ではカーニバルに次ぐ大規模なお祭りで、町中が熱狂的な雰囲気に包まれた。10日付フォーリャ紙(1)が報じた。
 1754年に設立されたこの寺院の歴史の中でも特に有名なのは、教会の前の広場と階段を華やかなアフリカ風衣装をまとった黒人系女性らが香水入りの水をまいて、箒で掃く行事だ。
 また、この祭りで販売される「ボンフィンのリボン」(ミサンガ)も有名だ。「ボンフィン」は「良い結末」の意味があり、お守りとして愛好され、特にサッカー選手が好んだことで彼らと共に世界中に広まった。
 ボンフィンの人気は、カトリック信仰とオシャラ(アフリカ伝来の宗教カンドンブレで崇拝される聖人)信仰、つまりキリスト教とアフリカ伝来宗教の禁断の融合に原点がある。それゆえ、カトリック聖職者には懸念の種でもあり続けた。
 祭りが始まった当時、カンドンブレを崇拝する黒人奴隷たちが、教会の清掃を名目にした賑やかな集まりを行っていたが、これが不謹慎な雰囲気を生み出す原因となった。
 カトリックの祝日「王の日」(Dia de Reis、1月6日の)の後の第2日曜日に、ボンフィンが行われる。その直前の木曜日に教会を掃除するという名目で、黒人らが賑やかな行列を作って教会を〝襲撃〟した。泥酔した参加者が水の入った壺を頭に乗せ、歌いながらほうきを振りまわし、どんちゃん騒ぎを行ったのだ。
 祭りは年を追うごとに拡大したため、ついに司祭は教会内での清掃を禁止した。現在では姿を変え、ノッサ・セニョーラ・ダ・コンセイソン・ダ・プライア大聖堂から出発する賑やかな行列が形成され、約8キロの距離を歩いてボンフィンまで練り歩く。伝統的な民族衣装に身を包んだ「バイアーナ」たちが、ほうきと香水入りの水を使って広場と教会の階段を清める儀式が行われる。
 一方で、バイア土産として世界中で最も知られる「ボンフィンのリボン」の起源はさらに古い。研究者のエレニータ・オランダ氏によると、リボンは絹のような上質な織物で作られていたという。教会の維持費を捻出するために販売され始めた。
 現代においてボンフィンのリボンは手首に巻かれたお守りとして、この教会を知らない人々からも大切にされている。

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