RS州大水害=企業家や漁師らも懸念表明=緊急支援や融資発表の中で

【既報関連】観測史上最大量の雨(5月29日付G1サイト(1)参照)による水害で苦しんでいるリオ・グランデ・ド・スル(RS)州では、政府による緊急支援金支給や企業向けの融資発表も続いているが、長引く水害で、農業以外の産業界からも運転資金の不足や活動継続への不安を訴える声が強まっている。
5月31日付同州政府公式サイトなど(2)(3)によると、同州防災局は5月31日朝9時に、死者169人、行方不明者44人、被災市473、被災者234万7664、避難所収容者3万9595人、親戚宅などにいる人58万111人と報じた。被災市数は全市の95%強に及び、豪雨による被害が報じられ始めてから1カ月以上が経っても、62万人余りが自宅に戻れずにいる。避難所収容者数減少は自宅に戻れたからだけではなく、学校の授業再開などで明け渡さなければならない場所が出てきたことや、出身地などに転居した人が出ていることも反映している。

そんな中、水がひいて日常生活や経済活動を再開したり、再開の準備を行ったりしている人や企業から、現金不足や製品・商品の不足、莫大な損失などに苦しむ声が出ている。
一例は、パトス湖の増水で浸水被害に遭った漁師達だ。5月28日付アジェンシア・ブラジル(4)によると、ペロタス市の住民は少なくとも半分は自宅を離れることを余儀なくされ、漁に使う舟で寝泊まりする人さえいる。また、大量の汚泥などがパトス湖に流入したことや自宅や市場、魚屋などが浸水被害に遭い、冷凍・冷蔵庫、漁に使う資材なども失ったことで、魚の繁殖期で禁漁となる6~9月以降も従来通りの活動に戻れるかを懸念している。
また、5月29日付アジェンシア・ブラジル(5)によると、バールやレストランも3分の1以上が閉まったままで、店や資材の修復費や従業員の給料などを払えないと訴えている。営業を再開した店も94%は減収に苦しんでいる。
機械や設備、販売直前だった製品や在庫の原材料などの損失で大損害を被った企業も、回転資金や人手の不足、資材調達の難しさなどに直面している(5月30日付G1サイト(6)参照)。
他方、5月28日付アジェンシア・ブラジルなど(7)(8)(9)(10)(11)などによると、連邦政府は早々に生活再建用の緊急支援金の支給を決めたが、インフラ上の問題などで、有資格者の登録さえ進まないという問題に直面。5月30日にやっと最初の3万4196世帯向けの支給が行われた。
5月29日付G1サイトなど(12)(13)(14)によると、5月29日には機械や設備、サービスの購入や財政計画、緊急運転資金確保のため、最大で150億レという企業向け融資も発表された。だが、低金利で返済猶予付き、長期返済といった好条件の融資を受けられるのは被害状況や被害額の評価後だから、かゆい所に手が届かないと感じている企業も多いようだ。
また、家を失った人達のためには州による仮設都市計画や連邦政府による家屋の買い集め(5月29日付アジェンシア・ブラジル(15)参照)などの話が進んでいるが、実際に住めるのはまだ先の話。5月29日付アジェンシア・ブラジル(16)によると、白物家電は15%の割引付きで買えるようにするという話も5月29日現在では交渉中だ。
5月30日付アジェンシア・ブラジル(17)によれば、連邦政府は特別対策班を設置してからの1カ月間で625億レを投じたと強調。5月30日付G1サイトなど(18)(19)によると、ポルト・アレグレ大都市圏の地下鉄も部分的に運行を再開したが、災害規模が大きく、今も水がひかない所があるなど、再建・復興は容易ではない。
緊急支援物資の横流しなどの犯罪も起きているが、5月30日付アジェンシア・ブラジルなど(20)(21)によれば、5月30日にはパラグアイやイタリアからの支援物資が届いたし、5月29日には水管理システム近代化を優先するとの方針決定(5月29日付アジェンシア・ブラジル(21)参照)など、再建・復興のための取り組みが続いている。