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《ブラジル》子供用コロナワクチンに医師診断書必要なし=保健省公開協議で専門家ら=5〜11歳の接種今月から

2022年1月6日

ケイロガ保健相(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)
ケイロガ保健相(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 4日、保健省の主催で新型コロナワクチンの5〜11歳に対する接種に関する公開協議が行われ、過半数の専門家たちが「医師の診断書なしで接種が可能」と、連邦政府側の判断と異なる判断を下した。4、5日付現地紙、サイトが報じている。
 ブラジルでは現在、12歳以上への新型コロナワクチンの接種が進んでいるが、それ以下の年齢に関しては反対派の世論も強く、こう着状態にあった。
 国家衛生監督庁(ANVISA)は昨年の12月16日に5〜11歳児へのファイザー社製ワクチンの接種を認めたが、これも同庁の理事や職員が殺害予告の脅迫などを受ける中での判断だった。
 この判断にボルソナロ大統領が強い拒絶反応を示し、「親の同意書と医師の処方箋がなければ接種させない」と主張したため、早く接種を進めたい知事や専門家たちは反論した。
 4日の公開協議はマルセロ・ケイロガ保健相が意見調整のために設けたもので、12月24日~1月2日に行われたアンケート調査の結果なども参考にして協議が行われた。
 協議の冒頭、保健省は9万9309人から意見が寄せられ、大半は「医師の処方箋は不要」「子供へのワクチン接種は強制しない」「慢性病を抱えた子供への接種を優先する」と回答したと発表した。
 ただ、接種義務化の件では賛成意見を記せないなど、設問上の問題も指摘されている。
 公開協議には国を代表する医療団体などの専門家らが参加し、その大半がワクチン接種のための処方箋提出に反対の声を上げた。

 全国保健局長審議会(Conass)のネーシオ・フェルナンデス医師は「人口の8割以上を占める20州が同件に関する見解を表明しているが、いずれも処方箋の提出義務化には反対だ」と語った。同医師は、Anvisaが承認したワクチンは治験用ではなく、正式な医療機関を通じて流通しているものであることも主張した。
 連邦医師審議会(CFM)のドニゼッテ・ジアンベラルジーノ・フィーリョ副議長も、「処方箋はワクチン接種に制限をかけることになる」とし、「一人の医師が集団の判断を行うべきではない」との見解も述べた。
 ブラジル小児科学会(SBP)のマルセロ・アウレーリオ・サファディ医師も、子供の死者は大人よりも少ないが、同年齢で入院した子供は3万4千人おり、入院後の死亡率は14%に上るとの数字をあげ、「ワクチンの目的は病気の重症化や死を防ぐこと」で、他国の例では入院を93%防いでいるから、子供への接種は必要と説いた。
 保健省の公式見解発表はまだだが、ケイロガ保健相は公開協議前日の3日、1月後半に子供用ワクチンの配布をはじめると語った。小児用ワクチンの仕様は大人用とは異なり、別枠扱いとなる。国内の5〜11歳児は約2千万人いる。
 一方、州は保健省の判断前から5〜11歳児への接種の準備を進めている。サンパウロ州政府は4日、接種がはじまったら学校で接種を行う意向を表明している。


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