《ブラジル》フランサに家宅捜査=サンパウロ州知事選控え影響も

元サンパウロ州知事のマルシオ・フランサ氏(ブラジル社会党・PSB)が5日、市警の捜査対象となった。大統領選でルーラ元大統領(労働者党・PT)とジェラウド・アウキミン氏がシャッパ(連立名簿)を組むと噂される中、フランサ氏はフェルナンド・ハダジ元サンパウロ市市長(PT)とサンパウロ州知事選出馬を争っている。5、6日付現地紙、サイトが報じている。
5日朝行われた捜査は保健分野での公金横領などを疑うもので、「エックス線作戦」と名付けられた。同日は34件の家宅捜査令状が出され、アラサトゥーバ周辺の市やサントス海岸部、バウルー、カンピーナス、サンパウロ市など、州内17市で家宅捜査が行われた。
捜査の手はフランサ氏に直接関係するサンヴィセンテ市やサンパウロ市南部ヴィラ・マリアナ区の住宅にも及び、同氏の実兄で医師のクラウジオ・フランサ氏も捜査対象となった。
エックス線作戦は2020年にはじまっており、ビリグイ、ペナポリス両市のサンタカーザ病院などに絡んだ不正で同年に逮捕、翌年8月に104年の実刑判決を受けたクレウジソン・モンタリ医師に関連する場所も捜査対象となった。
同作戦が捜査対象としている犯罪組織による横領額は約5億レアルとされ、犯罪組織形成や資金洗浄などの嫌疑もかかっている。同名の捜査は20年にパラー州、パラナ州、ミナス・ジェライス州、南マット・グロッソ州でも行われている。
フランサ氏は今回の捜査は政治的思惑によるものと判断し、「選挙年、2022年がはじまった」と皮肉った。フランサ氏はアウキミン氏の副知事をつとめ、アウキミン氏が大統領選に出馬した18年に知事に昇進した。
アウキミン氏は今、長年所属した民主社会党(PSDB)を離党し、フランサ氏の伝手でPSBへの移籍を物色中。その暁にはルーラ氏とのシャッパを有力視されている。
その関係上、PSBはフランサ氏をサンパウロ州知事候補にと願っているが、ルーラ氏は自身の後継者のハダジ氏を知事候補に推している。世論調査ではハダジ氏の方が人気が高いだけに、フランサ氏には痛い捜査となった。
アウキミン氏は今回の捜査後、「(フランサ氏の)無実を信じている」と語っている。