《ブラジル》ウーバーイーツが料理配達から撤退=パンデミック期に急成長も

携帯アプリによる料理のデリバリー大手、ウーバーイーツがレストランの料理配達事業から撤退し、スーパーなどの商品配達に専念すると発表した。同社の事業はパンデミック期に急成長していた。6、7日付現地紙、サイトが報じている。
ウーバー社は6日、3月7日をもってウーバーイーツがレストランの料理の配達事業を停止すると発表。以降はスーパーその他の小売店の商品配達に専念するとした。
ウーバーイーツは米国が本社のタクシーアプリ「ウーバー」がはじめたデリバリー事業で、米国では2014年に創業。ブラジル進出は19年で、20年には同年3月から深刻化した新型コロナウイルスのパンデミックで外食不能となった国民中心に需要が急増。デリバリー産業は他の産業が大打撃を受ける中でオンライン・ビジネスと共に目覚しく飛躍し、同社は業界2位の存在となっていた。
ウーバー側はレストラン関連事業からの撤退を「方針転換」と説明したが、その背景には5日付連邦官報掲載の法律がある。この法律は、配達員への労働者待遇保障をアプリ業者に義務付けるものだ。アプリの配達員への保障が不十分であることはパンデミック初期から指摘されていた。
この法律は20年4月に提案され、昨年12月に承認されたもので、マスクやアルコールジェルなどの衛生・安全用品の支給やコロナに感染した配達員への15日間の経済支援義務、支援は15日間延長されうることなどが定められている。
ウーバーイーツ撤退に関し、ブラジル飲食店協会のパウロ・ソルムッチ会長は、「業界にとって多大な損失であり、大きな不安を残すものだ」と語っている。ブラジルでのアプリによる料理のデリバリー事業はiFoodが70%以上を独占している。
ウーバー社は今後、同日中に商品を届けるウーバー・ダイレクトや生鮮品などの配達、そのためのバイクやタクシーなどの輸送手段拡張に注力する。