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《ブラジル》アウキミンがルーラ氏への不安漏らす=労働改革の撤廃をめぐり=新たな入党先候補も浮上

2022年1月12日

アウキミン氏(右)とパウリーニョ氏(Twitter)
アウキミン氏(右)とパウリーニョ氏(Twitter)

 大統領選で「シャッパ(連立名簿)実現か」と注目されているルーラ元大統領(労働者党・PT)とジェラウド・アウキミン元サンパウロ州知事が、労働改革で見解を異にし、アウキミン氏の入党を交渉中のブラジル社会党(PSB)やPTの関係者を不安がらせている。また、アウキミン氏には新たな移籍先候補が浮上している。10、11日付現地紙、サイトが報じている。

 2006年の大統領選で決選投票を争ったルーラ氏とアウキミン氏が22年大統領選でシャッパを組むのではないかとの噂は、昨年11月頃に浮上。この話は、12月にアウキミン氏が33年在籍した民主社会党(PSDB)を離党したときに一気に現実味を帯びてきていた。
 アウキミン氏は12月、サンパウロ州知事だった時の副知事のマルシオ・フランサ氏を伝手に、ルーラ氏の副候補を提案するPSBとの交渉をはじめている。
 7日付グローボ紙によると、アウキミン氏は同氏獲得を目指す別の党、社会民主党(PSD)に、「ルーラ氏とのシャッパを優先したい」との意向も伝えてあるという。
 だが、アウキミン氏がルーラ氏やPTに懸念を抱いていることが10日に明らかになった。フォーリャ紙などによると、アウキミン氏は同日、政党・連帯(SD)党首のパウリーニョ・ダ・フォルサ氏との会談でその不安を打ち明けている。

 それによるとアウキミン氏は、ルーラ氏とPTが11日にスペインのペドロ・サンチェス首相とヴァーチャルで行う同国の労働改革に関する討論会で、テメル政権で行われた労働改革撤廃を持ち出すのではないかと懸念していたという。それは、グレイシ・ホフマン党首らPT幹部が、雇用を減じ、公社民営化を促進したとして、ルーラ氏当選の暁には労働改革を撤廃する意向を公に語っていたためだ。
 アウキミン氏は、労組とのつながりが強いパウリーニョ氏に、「この件に関して労組がどういう意見を持っているのか教えて欲しい」と頼んだという。
 パウリーニョ氏は労組側には全面撤廃の意向はないと伝えた後、アウキミン氏に連帯への「入党」を勧めた。同党はアウキミン氏には何の要求も行わない意向で、ルーラ氏とシャッパを組みたいのならそれにも応じるつもりだという。
 アウキミン氏の側近によると、同氏の視野にはもはやサンパウロ州知事選はなく、国政レベルで物事を考えているという。パウリーニョ氏もこの日、「第3勢力では大統領選には勝てないと考えている」との印象を表明しているという。
 この報道後、PTの代表達はアウキミン氏のもとに出向き、労働改革の件で気を悪くしないようなだめたという。アウキミン氏の側近によると、同氏は「大した問題ではない」とし、引き続きシャッパ結成に前向きな姿勢を見せたという。中道派アルキミンだけに、PTが左に寄りすぎないように諫めた格好だ。
 ただ、今回の件で、アウキミン氏の「ルーラ氏とのシャッパ」はPSBだけでなく、SDで実現する可能性もあることが示された。PTとPSBは聖州知事選をめぐり、ルーラ氏の後継者のフェルナンド・ハダジ氏とフランサ氏のどちらを候補にするかで意見が割れている。


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