《ブラジル》大統領選=ルーラ「アウキミンに問題ない」=党内反対派を牽制する発言=PTとPSBは党首会談開催

党内部で一部の強い反対意見がありながらも、労働者党(PT)とブラジル社会党(PSB)の間では、10月の大統領選でのルーラ元大統領とジェラウド・アウキミン元サンパウロ州知事のシャッパ(連立名簿)を中心とした連立が前進している。19、20日付現地紙が報じている。
ルーラ氏は19日に行われた共同記者会見で、「アウキミン氏を副候補に迎えることに関して何も問題はない」と改めて言い切った。
これは、同党内の急進的な左派寄り勢力が先週あたりから、アウキミン氏を副候補とすることに強い難色を示し始めたことへの牽制とみられている。
難色を示しているのは、PT元党首のルイ・ファルコン氏やPT政権元閣僚のマリオ・ド・ロザリオ下議らで、「アウキミン氏を副候補に迎えれば、PTがやってきたことが無駄になる」「中道票を狙うより、反ファシズム強化を優先するべきだ」と主張している。
世論調査では、ルーラ氏への投票を希望している人の3分の2が(アウキミン氏が副でも)「影響はない」と答えたという結果も出ているが、これまでは政敵としてきた保守政党の民主社会党(PSDB)に33年間も所属していたアウキミン氏に対し、敵対心を抱く勢力も少なくない。
また、PSB内部でも、思うように進まない知事選での連立などで、PTとのシャッパに疑問を抱く勢力もいないわけではない。
アウキミン氏を巡っては、連帯(SD)や緑の党(PV)なども、「ルーラ氏の副候補」という前提で同氏獲得を狙っているという経緯もある。
PTとPSBは20日に党首会談を行うことを決めている。これに関し、PTのグレイシ・ホフマン党首は18日、「PSBは既に、シャッパを組もうが組むまいがルーラ氏を推すことを決めている」とし、「あとは実際に連立を組むべく話を詰めていきたい」と語っている。
一方、PSBのカルロス・シケイラ党首も「ルーラ氏を支持したい気持ちがある」としながらも、「PTには自分たち中心主義的なところがある」と語り、牽制を行っている。
シケイラ氏がブログで語ったところによると、党首会談の議題は州知事選での協力体制が中心となる模様で、両党が候補を出したがっているサンパウロ州、ペルナンブッコ州、エスピリトサント州などについて話されるという。
また、グレイシ氏も会談に先立ち、「リオ州でPTの知事候補を出すのは難しい」との表現で、同州の知事選ではPSBの人気候補マルセロ・フレイショ下議に協力することを匂わす発言を行った。
一方、シケイラ氏はブログの中でアウキミン氏のことに触れ、「左派政党に所属したことがないのは確かだが、彼は左派にとっての良き友人でもある」と語り、支持者たちにアウキミン氏のPSB入党に対する理解を求めている。
アウキミン氏に関しては、PTにとって大きな支持基盤でもある農地占拠運動(MST)が、ルーラ氏とアウキミン氏のシャッパに対し、ゴーサインを出していることなども報じられ始めている。