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《ブラジル》セルジオ・モロ=法相後の給与で疑惑噴出=就職先がLJ企業から多額収入=下院はCPI開設の動き

2022年1月25日

モロ氏(Marcello Casal Jr./Agencia Brasil)
モロ氏(Marcello Casal Jr./Agencia Brasil)

 10月の大統領選への出馬が有力視されるセルジオ・モロ元法相(ポデモス)に、大きな疑惑が浮上している。同氏が法相辞任後に就職した米国の法律事務所が、モロ氏が判事を務めたラヴァ・ジャット作戦(LJ)の対象となり、債務再建などを請け負っている、オデブレヒト社その他の企業から収入の4分の3以上を得ていたことが判明したためだ。同件では、下院で議会調査委員会(CPI)結成の動きも起きており、問題が大きくなっている。21〜24日付現地紙、サイトが報じている。

 モロ氏はLJ担当だったパラナ州連邦地裁判事時代から「汚職撲滅」のイメージがあって国民からの人気が高く、大統領選の世論調査でも約10%の支持率で3位につけている。
 だが、そのモロ氏に手痛い事態が起きている。連邦会計検査院(TCU)が20日、モロ氏が2020年4月にボルソナロ政権の法相を辞任した後の収入を公開したのだ。
 情報公開は会計検察局からの依頼で行われた。モロ氏は法相辞任後、2020年11月から2021年10月まで米国の法律事務所「アルヴァレス&マーサル」に勤めていた。同社がLJに関与したブラジルの大手建設企業の債務再建などを担当をしていることは当時から報じられ、倫理的問題が指摘されていた。
 その結果、アルヴァレス&マーサル社が2021年12月までに得た収入8350万レアルのうち、78%に当たる6510億レアルをLJの捜査対象企業から得ていたことがわかった。

 内訳は、オデブレヒト社から2240億レアル、同社子会社のアチヴォス(旧オデブレヒト・アグロインドゥストリアル)社から1080億レアル、BVA銀行から2250億レアル、OAS社から580億レアル、ガルヴォン・エンジェニェリア社から330億レアル、エンセアーダ社から17万2千レアル、アグロセーラ社から12万レアルとなっている。
 これに対してモロ氏は、「自分が働いていたのは捜査部門であり、再建部門ではない」とし、「オデブレヒトのためには働いていない」と主張。また、、「オデブレヒトと働いていたのはルーラ氏だ」として、自身がかつて有罪判決を下し、大統領選で支持率1位のルーラ氏を皮肉った。
 モロ氏は2019年の「ヴァザ・ジャット報道」で、携帯電話の盗聴の中身から、パラナ州連邦検察局との癒着、建設業者にルーラ氏に不利になる報奨付証言をさせていた疑惑が浮上したことで、2021年4月に最高裁から「ルーラ氏の件で偏りのある裁判を行った」との判決を受けた上、ルーラ氏に対するLJでの判決をすべて無効にされていた。
 この報道後、下院ではモロ氏に対するCPI開設の動きが起こっている。発起人は労働者党(PT)のパウロ・テイシェイラ下議で、ボルソナロ大統領支持派の政治家や中道勢力セントロンなど、モロ氏と敵対関係にある政治家らが賛同すれば、開設に必要な140人の署名を集めるのは不可能ではないと見られている。


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