《ブラジル》保健省が小児用ワクチンに事前診断要求?=以前に撤回されたはずも=相次ぐ不可解な抵抗行為

26日、保健省が新型コロナワクチンの接種を待つ子供の保護者に対し、「ワクチン接種の前に医師の診断を仰ぐように」という声明を出すなど、連邦政府内で5〜11歳児へのワクチン接種に抵抗する動きが目立っている。26、27日付現地紙、サイトが報じている。
26日、保健省は250万回分の小児用ワクチンの配布を追加で行うことを公式サイトで発表したが、この際に「両親(保護者)は子供に接種を受けさせる前に医師の診断を仰ぐように」との但し書きを行った。
接種前の医師の診断や処方箋は、医療団体から不必要と判断されており、全国保健局委員会(Conass)は12月にも、「子供への接種キャンペーンの足かせになる可能性がある」と批判する声明文を出している。
国家衛生監督庁(ANVISA)は12月に、米国ファイザー製薬の小児用ワクチンを5~11歳児に適用することを承認。1月には中国製のコロナバックの6〜17歳児への適用を認めており、すでに全国規模で接種も進んでいる。
保健省はANVISAがファイザー社製ワクチンの使用を認めた際も、医師の処方箋の提出を求めた。
だが、医療の専門家らを集めて行った1月4日の公開協議の場でも、団体代表たちがこぞって、「ワクチン接種の妨害になりうる」として、処方箋義務化に強く反対していた。
にも限らず、連邦政府やボルソナロ大統領支持者は先週末から、小児向けのワクチン接種を妨害する試みを続けている。
21日は保健省がクロロキンは新型コロナに有効だがワクチンは無効とするテクニカルノートを発行。クロロキンはボルソナロ大統領が推奨していた薬だが、世界保健機構(WHO)が2020年に「効用は認められない」との結論を出した。大統領の同薬へのこだわりはブラジルでのワクチン接種開始を遅らせ、問題視された。
マルセロ・ケイロガ保健相は「私が知らない内に掲載された」として、クロロキンの効用を慌てて否定。テクニカルノートの改訂を約束し、ワクチン接種の必要性を訴えた。
他方、国家総弁護庁(AGU)も小児へのワクチン接種に反対する姿勢を見せている。20日には小児への予防接種キャンペーン差し止めを求め、ANVISAから強い抗議を受けたし、小児用ワクチンのロジスティック面に疑問を呈す動きなどを起こし、州から批判されたりしている。
大統領は一貫して小児へのワクチン接種に反対しているが、今月行われたダッタフォーリャの調査では、国民の79%が小児への接種に賛成している。また、現在流行中のオミクロン株では子供の重症化と入院増が報じられている。
小児へのワクチン接種を妨害する動きは接種現場でも見られ、保護者と子供を部屋に押し込め、何かが起きても国に責任は問わないなどと書いた同意書への署名を求めたり、宣伝カーで子供への接種は危険とふれ回るといった形での妨害行為が報告されている。