《ブラジル》バローゾ判事「真の理由は支援の喪失」=ジウマ罷免の持論を語る

最高裁のルイス・ロベルト・バローゾ判事が2日、2016年のジウマ大統領の罷免について、辞めさせられた本当の理由は、罷免請求に記載された粉飾会計(ペダラーダ・フィスカル)ではなく、政治的な支援を失ったこととの見解を示した。3日付現地紙が報じている。
バローゾ判事の見解は、ブラジル国際関係センター(Cebri)が発行する雑誌の創刊号への記事に記載されたものだ。雑誌そのものは10日に発売されるが、フォーリャ紙がそれに先駆けてスクープした。
バローゾ判事はジウマ氏の罷免に関して、「正式にはペダラーダが罷免の理由とされているが、本当の理由は政治的な支援を失ったからだ」と発言した。
バローゾ氏は後任となったテメル前大統領のことにも触れ、「任期が終わるまで務めあげ、左派からリベラルな政治への転換を図ったが、汚職の摘発が続き、果たせなかった。検察庁からも起訴されたのに、下院が罷免審議を拒否したため、2度も罷免を逃れた」と語った。
バローゾ氏がこのような発言を行うのはこれが初めてではない。同氏は昨年の7月に行われたあるシンポジウムでも、「ジウマ氏は財政責任を問われたからではなく、政治的な支援を失ったので罷免させられた」と語っている。
バローゾ氏は別の機会にも、「罷免とはゴウピ(クーデター)ではない。罷免は法的な手続きに準じて行われているのだから。ジウマ氏の場合も、憲法に則った形という点においてはゴウピではない」と語っている。
ジウマ元大統領の罷免に関してはこれまでも、「財界とマスコミによるクーデター」とする説が頻繁に語られてきたが、今回のように最高裁の関係者が具体的に語ったものはなく、注目されている。
ジウマ氏は連邦政府の債務補填のための公銀からの借り入れ額が多く、財政責任法に問われたが、「歴代大統領もやってきたことなのになぜ」と方針を改めなかったことで再犯に問われ、罷免審議にかけられた。
だが、贈収賄などの汚職などではなかったことから、罷免成立後も釈然としない印象も残していた。