《ブラジル》ゲデス無視して燃料減税法案を下院提出=大統領の意向受け強行か

連邦政府が燃料に関する減税のため、パウロ・ゲデス経済相との合意よりも大幅な減・免税を可能とする憲法補則法案(PEC)を作成し、政府側下議の手で下院に提出したことがわかった。4日付フォーリャ紙などが報じている。
PECを提出したクリスチアノ・アウレオ下議は、シロ・ノゲイラ官房長官が党首を務める進歩党(PP)の下議で、同氏が提出したPECは、大統領府官房長官付財政担当補佐官のオリヴェイラ・アウヴェス・ペレイラ・フィーリョ氏が作成し直したものだ。
同PECは、ガソリンやディーゼル油、エタノール、家庭用ガスに関する減税を可能とするもので、「新型コロナのパンデミックで生じた社会的、経済的な影響の結果として」国、州、市が課す税金をゼロもしくは大幅に引き下げることを認めている。
これは、州や市に対して、商品流通サービス税(ICMS)を切り下げることも求めるものだ。連邦政府は燃料費高騰の責任は誰にあるかという議論の矛先をかわし、知事たちに圧力をかけるため、ICMS切り下げもPECに含めることを望んでいる。
同PECには、燃料やガスへの減・免税は2022~23年に適用できることと、財政責任法が定める、減・免税を行う場合には他の税金を課すまたは他の税金の課税率を引き上げることで、減収分を補填するという原則の適用を免除することが盛り込まれている。
連邦政府の減税に向けた動きは、ルーラ元大統領にリードされている大統領選での支持回復を狙って、ボルソナロ大統領が起こしたものだ。
だが、これに対し、ゲデス経済相は予てから強い難色を示していた。それは、全ての燃料の減税を実行すると540億レアルの税収減を招くためだ。同相はディーゼル油のみの減・免税を支持しているが、仮にディーゼル油だけであったとしても、170億レアル分の欠損となる。
また、大統領が教員給与の33%調整などを宣言し、州や市の財政がただでさえ圧迫している上に貴重な財源であるICMSを切り下げれば、反発は避けられない状況にある。