《ブラジル》ルーラ=PSDが一次投票支持断る=独自候補擁立の可能性捨てず=PSBと連立も知事選で未練も

7日、ルーラ大統領(労働者党・PT)は社会民主党(PSD)のジルベルト・カサビ党首とサンパウロ市で会談を行った。これは大統領選の一次投票の際、PSDからルーラ氏への支持を取り付けることが目的だったが、PSDは独自候補擁立を諦めておらず、物別れに終わった。この背景にはPTとブラジル社会党(PSB)の知事選での連立での問題もある。9日付現地紙、サイトが報じている。
PTは現在、10月の選挙でのPSBとの大連立を目指して動いている。PSBサンパウロ州支部長のマルシオ・フランサ氏は、同党が迎えようとしているジェラウド・アウキミン元サンパウロ州知事をルーラ氏の副候補に据えるシャッパ(連立名簿)について「99・9%決まっている」と語っている。
だが、その裏で、PTが動きを起こしているのも事実だ。その一例が、7日夜に起きたルーラ氏とカサビ氏の会談だった。これはルーラ氏が持ちかけたものではあるが、PTやPSDの内部で、一次投票から連立をと望む声が沸き起こっていたためだ。PSDでは決選投票でのルーラ氏支持はほぼ決定的と言われているが、それを一次投票からに早めることを求める声が強まっているという。
7日の会談に同席していたPSDのアントニオ・ブリト下議によると、会談は和やかに行われたが、カサビ氏はルーラ氏からの申し出を、「PSDから候補を立てる」との理由で断ったという。
PSDは予てからロドリゴ・パシェコ上院議長を大統領候補として擁立する意向を示しているが、パシェコ氏は支持率が上がらず、出馬に消極的な言動も残していた。それがルーラ氏のPSD接近への理由にもなっていた。
だが、ここに来て、昨年の11月に行われた民主社会党(PSDB)の大統領候補を選ぶ党内選挙でジョアン・ドリア・サンパウロ州知事に敗れたエドゥアルド・レイテ・リオ・グランデ・ド・スル州知事の移籍話も浮上してきている。過去の世論調査では、レイテ氏の方がパシェコ氏より支持率が高かったというデータもある。
PTがPSDへの接近を図る背景には、知事選の戦略を巡る問題もあった。PTの一部勢力は、PSDがリオ州知事選で擁立するブラジル弁護士会(OAB)会長のフェリペ・サンタクルス氏や、ミナス・ジェライス州知事選で現職のアレシャンドレ・カリル氏との連立を希望している。
リオ州ではPTがPSB擁立のマルセロ・フレイショ氏と連立する話が進んでいるが、フレイショ氏の急進路線を嫌う勢力が、ルーラ政権時代に懇意だったリオ市長のエドゥアルド・パエス氏が推すサンタクルス氏支持を根強く求めている。
だが、サンタクルス、カリル両氏とは、ルーラ氏と大統領選で争うシロ・ゴメス氏も連立を狙っている。特に、サンタクルス氏はシロ氏との連立がほぼ決定的と見られている。
PTとPSBの大型シャッパ決定が遅れているのは知事選に関する完全合意が遅れているためだが、争点の一つのペルナンブッコ州ではルーラ氏がPTの候補擁立を断念。サンパウロ州では、元知事でもあるフランサ氏がルーラ氏の後継者のフェルナンド・ハダジ氏に出馬を譲る意向を見せているとも報じられている。