《ブラジル》PTとPSB連立の調整進まず=議席割り当てなどの問題で=サンパウロ州知事選の出馬候補は?

10月の選挙でのフェデラソン(連立)を目指し、労働者党(PT)とブラジル社会党(PSB)が詰めの交渉を行っているが、なかなか決まらないでいる。懸案とされているのは、下院選での議席割り当てや、PSB創設一族でもあるペルナンブッコ州のジョアン・カンポス・レシフェ市長の難色、サンパウロ州知事選での決着などが挙げられている。11〜15日付現地紙、サイトが報じている。
PTとPSBは現在、ブラジル共産党(PCDoB)と緑の党(PV)の4党でのフェデラソンを目指した交渉の調整段階に入っており、10日も党の代表者らによる合同会議を行ったが、まだ合意には至っていない。
10日の会議の議題の中心は、下院での議席数の割り当ての問題だった。今回の選挙では2018年の選挙と異なり、小政党救済のためのフェデラソンの制度が復活している。つまり、選挙で実際にそれぞれの政党が得た議席で当選になるのではなく、連立政党間内で議席を調整できるという方法論だ。
下院の議席の割り当ては当初、50議席の内、PTが27議席、PSBが15議席、PCDoBとPVがそれぞれ4議席としていたが、PSBが自分たちの議席割り当てを増やすことを強く主張。それをPTが認めず、平行線が続いている。
PSBは下院の議席数でこそPTの6割程度だが、市長の数ではPTを上回っていることで見直しを求めている。これに特にこだわっているのがジョアン・カンポス氏だ。
ジョアン氏は、同党の絶対的リーダーだったが、2014年の大統領選期間中に飛行機事故で急死したエドゥアルド・カンポス氏の息子で、同党創始者のミゲル・アラエス氏のひ孫でもあるため、党内での発言力が強い。
さらに、ジョアン氏が拠点とするペルナンブッコ州はPSBの地盤が特に強く、2018年の下院選ではPSBが5議席獲得したのに対し、PTは2議席に止まったほどだ。
ジョアン氏は、「PSBの将来に関わること」として決断を遅らせているが、フェデラソンそのものや大統領選でのルーラ元大統領支持に関しては反対していない。
ただ、ペルナンブッコ州知事選も、PTがウンベルト・コスタ上議の出馬を取り下げ、知事候補を出したいPSBを尊重する形にはなったものの、候補に選んだダニーロ・カブラル下議は「弱い」と見られており、テメル政権時代の教育相だったメンドンサ・フィーリョ氏(民主党・DEM)に勝てるのかという問題もある。
あと、サンパウロ州知事選では、PTのルーラ氏の後継者であるフェルナンド・ハダジ氏と、PSB元サンパウロ州知事のマルシオ・フランサ氏のどちらを候補にするかの問題が残っている。
これに関しては、フランサ氏が14日に、「世論調査で人気のある方を出した方が良い」との意向を示している。これまでの世論調査ではハダジ氏の方がフランサ氏をリードしている。同件に関してはフランサ氏の軟化も報じられているが、同氏の息子のカイオ・サンパウロ州議など、強硬にハダジ氏出馬に反対する勢力がまだ残っている。