《ブラジル》財産目録の登録数増加=コロナ初年より40%も

コロナ禍による死者増などで2021年に登記所で登録された死者数が史上最高だった事もあり、昨年の遺産の財産目録(inventarios)登録数はコロナ初年の2020年を40%上回ったと7日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
故人が残した資産を決定するために必要な財産目録は相続人間で行われる資産共有に必須。2007年からは司法ルートのより迅速で安価な代替手段として登記所(公証人事務所)が扱っている。21年に登記所が扱った財産目録は21万9459件で、20年の15万6706件を40%上回った。
全国8千カ所以上の登記所を代表するブラジル公証組合連邦審議会(CNB/CF)によると、昨年の財産目録登録数の増加は、パンデミックによる死者数急増と、公式の電子公証人プラットフォームとビデオ会議を通じたオンラインでの管理の容易さによってもたらされたものだ。
同審議会によると、2007~2020年の平均は11万6278件だから、21年はそれを88・7%も上回る。21年は新型コロナによる死者だけでなく、その他の原因による死者も増えている上、登記所に出向く事に抵抗がある人もビデオ会議で登録できるようになった事が登録数急増を招いたという。
財産目録は死後60日以内に作成しなければならず、司法判断などによる期間延長もあり得るが、それを過ぎると10~20%の罰金が科せられる。
登記所で目録を作成するには、全ての相続人が成人で能力を備えている事と、相続人間で資産の共有に関するコンセンサスが得られている事が必要だ。また、目録の有効期限が過ぎているか取り消されている場合以外は、故人も遺言を残す事はできない。
いくつかの州では、有効な遺言がある場合も、事前の司法承認さえあれば、司法外の財産目録の作成が認められる。正式な目録の作成には弁護士の参加も必要だ。
なお、1月4日のブラジル公証人・登録機関協会(Anoreg/BR)の発表によると、昨年の死者数は172万6447人、出生数は261万9385人だった。この数字は同協会傘下の登記所1万3440カ所の総計で、死者は過去最高だった20年の147万876人を超えた。出生数も20年の264万1042人が最少だったから、新記録を更新した事になる。
なお、21年の新型コロナによる死者は42万4107人で、同年の死者の24・6%を占めた。20年の新型コロナでの死者は19万4949人で、同年の死者の13・3%だったから、21年は新型コロナの死者が数においても割合においても最多となった。
21年は遺言数も3万2千件で過去の最高記録を書き換えた。