《ブラジル》ウニオンの統一候補はシロ?=ACMネットが強く熱望=背後に2018年の失敗

ウニオン・ブラジルと民主社会党(PSDB)と民主運動(MDB)の3党連合(フェデラソン)が、ルーラ元大統領、ボルソナロ大統領に対抗する「第3勢力の統一候補」としてシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)を擁立する可能性が浮上していることが明らかになった。17、18日付現地紙、サイトが報じている。
ウニオンのルシアノ・ビヴァール党首は16日、「大統領選の統一候補に関し、各党幹部と話し合う準備がある」と発言した。
ビヴァール氏は先週もセルジオ・モロ氏(ポデモス)と話し合いを行っており、同氏を会合に呼びたいとの意向を示した。ビヴァール氏はシロ氏との交渉についても認めているが、ビヴァール氏の側近たちは、「シロ氏とビヴァール氏ではイデオロギーが合わないだろう」との見方を示している。
だが、ビヴァール氏以外の党幹部はシロ氏の擁立に興味を示しているという。特に熱心なのは、前身政党の一つ、民主党(DEM)党首でウニオンでは幹事長役のACMネット氏だという。
ACMネット氏はバイア州知事選への出馬を目指しており、PDTの支援を求めているが、これを国政レベルにまでつなげたいと考えている。
PDTも既に、ウニオンからシロ氏の統一候補の打診を受けたことを認めている。同党はウニオンとの知事選での協力交渉も行っており、バイア州のみならず、リオ州、リオ・グランデ・ド・スル州、ゴイアス州、マット・グロッソ州、サンタカタリーナ州で協力体制を築いている。
ACMネット氏がシロ氏を推す背景には、2018年に起きたDEMの失敗がある。DEMはこの時、PSDBをはじめとする9党連合を組み、当時はPSDBにいたジェラウド・アウキミン氏を統一候補にした。この時はシロ氏も候補に挙がっていたが、左派候補であることを嫌って選ばなかった。
だが、実際には、選挙放送で1ブロックあたり5分32秒と圧倒的な持ち時間があったアウキミン氏が4・76%の支持率で4位に沈み、38秒に過ぎなかったシロ氏が12・47%で3位に入っていた。世論調査の決選投票のシミュレーションでも、選挙戦のかなり後半まで「シロ氏はボルソナロ氏に勝てる」との調査結果が出ていただけに、「中道勢力のバックアップがあれば勝てていたかもしれなかった」との見方も出ていた。
これまで、3党連合で考えられていた候補はジョアン・ドリア・サンパウロ州知事(PSDB)やシモーネ・テベテ上議(MDB)だったが、世論調査での支持率はドリア氏で5%未満、テベテ氏で1〜2%ほどで、5〜10%の支持を得ているシロ氏とは差がある。
モロ氏に関しては、ボルソナロ大統領と支持層が近く、「中道」というより保守寄りであることに加え、同氏をラヴァ・ジャット作戦判事から支持してきた「ブラジル自由運動(MBL)」の相次ぐ不祥事でイメージが下がっているところだ。
ウニオンは下議数も多いため、実現すれば、シロ氏は選挙放送で多くの時間を持つことも可能となる。