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《ブラジル》税関職員ストが長期化で悪影響=原材料不着で生産活動滞る=品不足やインフレの可能性も

2022年4月14日

国税庁(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)
国税庁(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 昨年末に始まった国税庁職員のストが国外からの原材料の通関業務の遅れを招き、商品不足や生産コストの上昇を招きかねない事態が深刻化していると13日付現地紙、サイトなどが報じた。
 国税庁職員のストは「オペラソン・パドロン」と呼ばれ、全ての輸入品に基準通りの厳密な審査を行うという形で行われている。この形のストは、従来は5日で降ろせた積荷を20日経たないと降ろせないといった事態を招くため、港湾部や空港が積荷を搭載した船や航空機で埋まり、工場の生産活動が止まるといった問題も引き起こしている。
 平均5日だった通関業務に20日を要している事は、ブラジル国際貿易投資研究所(IBCI)が13日に経済省に提出する報告書に記されており、港湾部や空港での問題が経済全体に及ぼす影響を回避するには早急な対応が必要としている。同報告書にはネスレ、ユニリーバ、ジェネラル・ミルズ、Dowなどの多国籍企業も署名。これらの企業が関わる分野は食品、衛生用品、化学製品、製紙など、多方面に及ぶ。
 通関の遅れは輸出入全体に影響を及ぼしており、原材料が届かないために生産活動が滞り始めた企業は、規模を問わない。
 ブラジル衛生用品工業協会のパウロ・エングレル氏によると、会員企業の中には原材料が数カ月間滞留しているところもあるという。清掃、衛生用品製造会社の一つは、原材料が80日以上滞留し、生産ラインの一部や開発部門の研究所が機能を停止していると証言。このままいけば生産ラインが完全に止まり、洗剤などの商品が店頭から姿を消す事態が生じ得ると語っている。
 サンパウロ州小麦製粉産業組合によると、従来は48時間だった通関作業が14日間かかっており、サントス港で滞留している小麦は同州で1カ月間に処理する量の27%相当の3万8千トンに達している。現在は小麦粉の供給停止は起きていないが、輸入業者は日に21万レアルの損失を被っており、早期に解決しなければ、パンその他の製品不足や値上がりも招き得るとしている。
 同庁職員のストは、今年の予算が半減された事や連邦政府が治安関係者のみに給与調整を行うと発言した事などが原因で起きた。生産活動への影響は何度も報じられているが、職員組合は、政府側は対話に応じようとしておらず、問題解決のための期限も示していないとしている。経済省は3月30日に公務員給与に関する返答は6月末日までに行うとの意向を表明している。


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