site.title

《ブラジル》「モロ氏の判決に偏り」国連人権委員会が追認=注目集まるルーラへの補償

2022年4月29日

https://twitter.com/JamilChade/status/1519333099963916290

国連の判断をスクープするシャーデ氏の報道(Twitter)

 国連人権委員会が、セルジオ・モロ氏がパラナ州の連邦地裁判事時代にラヴァ・ジャット作戦でルーラ元大統領を裁いた裁判や捜査に「偏りがあった」と判断した。同様の判決は昨年4月にブラジル最高裁も出していた。27、28日付伯字紙、サイトが報じている。
 これは、モロ氏が2017年9月に1審を担当したルーラ氏への裁判に対する判断だ。ルーラ氏はここで、ペトロブラスの事業で口をきいた見返りに建設大手のOAS社からサンパウロ州海岸部グアルジャーの三層高級住宅とその改築工事を無償で受けたとして、収賄と資金洗浄の容疑で9年の実刑判決を受けた。この件では2審でも有罪となったため、ルーラ氏は服役。出馬前の支持率調査で1位だった2018年の大統領選に出馬することができなくなっていた。
 だが、2019年6月の「ヴァザ・ジャット報道」で、ハッキングされたモロ氏の携帯電話の記録などから、同氏がパラナ州の連邦検察官らと癒着関係にあった疑惑や、検察官らがOASの社長にルーラ氏に不利になるような証言をさせていた疑惑が判明。
 ルーラ氏は2019年10月に、最高裁が「二審判決での実刑を施行しない」と判断したことで釈放された。また、2021年4月には「ルーラ氏の裁判でモロ氏に偏りがあった」との最高裁判断から、ラヴァ・ジャット関連の裁判がすべて無効化され、被選挙権も回復していた。
 今回の国連人権委員会での裁判は、ルーラ氏が2016年3月にサンパウロ市のコンゴーニャス空港で連警から事情聴取を受けたことや580日間に及んだ服役による名誉毀損、18年の大統領選に出馬できなかったことに対する補償などの点で注目されていた。ルーラ氏が服役中の2018年8月、最高裁がルーラ氏に関する審理を行うまでは同氏の政治的な権利を保持するように人権委員会は求めたが、ブラジル政府はそれを無視していた。
 委員会の判断は28日にスイスのジュネーブで正式に公表されるが、ルーラ氏の弁護士と連邦政府には27日のうちに伝えられており、サイト「UOL」のコラムニスト、ジャミル・シャデ氏がその概要を明らかにした。ただし、ブラジル政府への勧告などは28日に発表される。
 今回の人権委員会の裁判で注目されているのは、ルーラ氏への補償問題だ。有罪判決は3審まで出ており、判事はモロ氏だけではない。最高裁の判決ではモロ氏の裁判に偏りはあったものの、モロ氏自身は補償の責任は問われず、ルーラ氏への補償も曖昧なものだった。労働者党(PT)側はルーラ氏への具体的な補償を求めていた。
 その場合、補償の対象となるのは国だと目されていたが、27日付フォーリャ紙サイトによると、現政権は昨年11月にルーラ氏は既に自由の身となっており被選挙権も回復していることなどを理由に、人権委員会での審理は不要と訴える嘆願書を提出していたが、委員会はこれらの主張を拒否し、今回の判断を出すにいたった。
 PTは27日、「ペトロブラスに関するラヴァ・ジャット作戦の審理で正しくない裁判を行い、ブラジル経済を崩壊させた」として、モロ氏を訴えている。

□関連コラム□おしゃべりパパガイオ

 ラヴァ・ジャット作戦の裁判を担当していたセルジオ・モロ元連邦地裁判事がルーラ元大統領に対して「偏った判断をした」との判断を国連から受けた件は大きく報じられていたため、27日のグローボ局の夜のニュース、「ジョルナル・ナシオナル(JN)」が取り上げなかったことがむしろ話題となった。JNはラヴァ・ジャット作戦の際、モロ氏を最も持ち上げた番組として知られている。また、親モロ派、反ルーラ派で知られていたジョアン・ドリア前サンパウロ州知事は同日、「ルーラ氏は賢いが、ボルソナロ氏はそうじゃない」と発言して注目された。18年のサンパウロ州知事選の際には「ボルソドリア」と称して自身を売り込んでいたのだが。


《ブラジル》止まらないインフレ高進=4月は95年来の1・73%=12カ月間では12%超前の記事 《ブラジル》止まらないインフレ高進=4月は95年来の1・73%=12カ月間では12%超《ブラジル》リアルタイムの送金急増=Pix導入で世界第4位に次の記事《ブラジル》リアルタイムの送金急増=Pix導入で世界第4位に
Loading...