《ブラジル》アウシリオの最低月額400レ確定へ=上院もMP承認、残るは大統領裁可

上院が4日、昨年末に導入された新社会保障制度「アウシリオ・ブラジル(以下アウシリオ)」の支給月額下限を400レアルとする暫定令(MP)を承認したと4、5日付現地紙、サイトが報じた。
連邦政府は昨年11月にアウシリオ支給を開始したが、同月の支給額は大統領が約束していた400レアルに届かず、支給月額を引き上げるためのMPを作成した。
12月7日に発行されたMPは、今年の12月までの支給月額を最低400レアルとするという内容だった。だが、6カ月以内に議会の承認を得なければならないという原則を利用して政党リーダー達が圧力を加え、来年以降も最低400レアルを支給できるようにする修正動議を提出。
この修正動議は4月に下院で承認済みで、4日の上院でも追認された事で、最低月額400レアルのアウシリオを来年以降も継続するというMPは大統領裁可を待つ事となった。
本来のアウシリオの支給額に様々な恩恵を加えて支給月額を増やす期間の制限が外れた事で、来年以降の政府負担年額はAB本体の475億レアルに410億レアルを加えたものとなる。
昨年末から今年にかけてのアウシリオの支給と支給増額は、裁判所が命じた罰金や賠償金などの「プレカトリオ」支払いのための計算期間などを変更するプレカトリオの憲法補則法案(PEC)によって可能となったため、来年以降も支給額を維持するための財源確保は今後の課題となる。上院ではAB関連経費は歳出上限法の対象外にとの提案も出たが、そのためには別のPECが必要となる。
ルーラ政権が導入したボルサ・ファミリアに代わるアウシリオは、低所得者からの支持獲得が目的だった。修正MPがそのまま裁可されれば、連邦議員達は支給額引き上げ維持により、支持増という恩恵を引き寄せる事に成功したといえそうだ。
ただ、ボルサ・ファミリアやコロナ禍の緊急支援金の支給対象だったがアウシリオの対象からは外れた家庭や、その後に所得が減って支給申請した家庭は100万を超えており、その列は伸びる一方だ。