《ブラジル》PECカミカゼ正式制定=暫定令で可能なのは3件のみ=新たな扶助の実施条件は?

【既報関連】連邦議会が14日、ボルソナロ大統領を招き、「PEC(憲法補則法案)カミカゼ」を正式制定したが、施行にはいくつかの手続きが必要だと14、15日付現地紙、サイトが報じた。
同PECは、その審議速度と法案が与える影響などからボルソナロ大統領による選挙対策と見られている。
だが、ゲデス経済相は14日、エレトロブラス民営化や税収増などで生じたゆとりで国民の必要に応えようとしているのであり、選挙対策ではないと弁明した。ボルソナロ大統領も法令制定式典で、「より脆弱な立場の人達に応えようとしてきた」とし、新支援策導入や生活扶助増額を正当化した。
ただ、できるだけ早期に実施するため、通常は数時間かかるセッションを1分で終わらせるなどの無茶な議会運営が行われた事は確かで、両院の予算関連の専門家らも合法性や発効後の影響などに懸念を表明していた。
また、市民省はアウシリオ・ブラジルの対象者を200万人増やし、8月以降の生活扶助の給付を月の前半に変更する意向を示している。生活扶助の支給額引き上げや給付日程変更は暫定令で対応でき、最低額を600レアルに引き上げたアウシリオの給付は8月前半から始まる予定だ。
貧困家庭へのガス代支援増額と家族農から購入した農産物を貧困家庭に配布するアリメンタ・ブラジルも、暫定令で対応できる。
だが、トラックやタクシーの運転手への支援策や、高齢者の公共交通機関無料化支援などは新たな規定を制定する必要がある。
労働社会保障省は、タクシー運転手への支援は5月末日までに公共機関が発行した営業許可証を添えて登録を行った人を、トラック運転手も全国高速道貨物輸送者登録(RNTC)への登録者を対象とする意向だが、国家陸路輸送庁は2017年以降、登録内容を更新しておらず、運転手の資格更新も要請していない。
個人営業のトラック運転手全国連合(CNTA)はRNTCに6カ月以上登録され、月1回は輸送業務を行っている運転手への支援を提案中だ。
また、高齢者の交通機関利用無料化支援とガソリンに対するエタノールの競合性を高める件は連邦自治体の法令との関係があり、すり合わせが必要だ。