《ブラジル》PT会計殺害犯が被告に=大統領は自分への批判否定

【既報関連】9日夜にパラナ州フォス・ド・イグアス市で起きた、労働者党(PT)会計殺害事件の犯人が正式に被告となったと20日付G1サイトなどが報じた。
事件が起きたのは9日夜で、ジョルジェ・グアラニョ被告はシュラスコ会場での会話から、自分が会員となっている協会の会館でPTパラナ州支部会計のマルセロ・アルーダ氏が50歳の誕生日を行っている事を知った。妻や子供も乗せた車で会館に向かうと、パーティ会場の前で車を止め、ボルソナロ大統領を支援する音楽を大音響で流しながら大声で怒鳴った。
これに気づいたアルーダ氏は、妻と共に会場外に出て口論した後、一握りの土と石をグアラニョ被告の車に投げつけた。土や石を浴びた被告の妻が「早く帰ろう」と被告を促したため、とりあえず帰宅した被告は、銃を手にすると、単身で会場に戻った。
被告が戻ってくる可能性があると考えたアルーダ氏らの要請で会館の門は閉じられていた。だが、被告は門番に掛け合って門を開けさせると、会場前に到着。車内から1発を放った後、銃を手に車から降り、さらに攻撃を加えようとした。
会場前にいたアルーダ氏の妻が攻撃を止めさせようとしたが、被告は彼女をかわすと銃を連発。会場前からの攻撃と会場内に乱入してからの攻撃は計6発で、内2発がアルーダ氏を直撃した。
これに対し、アルーダ氏も10発を連射。被告は内4発を浴びて床に倒れたが、その後もパーティへの招待客から頭をけられた。
被告は重体で集中治療室に入院していた。だが、20日には集中治療室を出るところまで回復し、一般病床に移された。
また、この日には検察が提出した起訴状を裁判所が受け入れたため、グアラニョ氏は正式に被告となった。市警はこの軒は政治的な殺人とはいえないとの見解を表明済みだ。
だが検察は、被告は銃を持って会場に戻っており、政治的な動機で起こした計画的な殺人事件と判断している。
この事件はその直後から、ボルソナロ大統領が銃所時を推奨し、見解や信条を異にする人達に対する「憎悪発言」などの攻撃的な言動を取り続けている事が影響したと騒がれた。そのため6政党からの訴えを受けた選挙高裁が、今回の事件と大統領自身の言動との関係について釈明するよう大統領に求める事態も起きた。
大統領の弁護士は20日、大統領の言動が支持者を刺激し、暴力的な事件の発生を招いたという野党側の訴えは的外れだと主張。大統領が自分への投票を求めたり、他の候補者への疑惑を唱えたりした訳ではないから、選挙高裁が扱うのは筋違いだとも弁明した。
また、今回の事件と憎悪発言を結びつけ、政治的に利用するのは選挙法が禁じている前倒しの選挙的なプロパガンダであり、選挙プロセスを混乱させて、不要な波風を立てるだけだと訴えた。
弁護氏側は、犯罪者や第三者による暴力的行為の全て、特にフォス・ド・イグアスで起きた事件を大統領の責任にしようとする動きは、何の根拠もなく、卑劣で無責任な行動だとも強調している。