《ブラジル》経済省が保健教育予算をさらに凍結=大学の日常業務にも支障=PECカミカゼのしわ寄せで

選挙対策とも見られている憲法補則法案(PEC)カミカゼという巨額緊急支援を無理やり通した事で、その分の通常予算を凍結せざるを得なくなり、しわ寄せが保健教育分野に集まっていると報じられている。
経済省が22日、今年3度目となる予算凍結を行うと発表した。今回の凍結額は67億レアルで、今年の凍結額は127・4億レアルになる。また、25日には保健省や教育省の予算も凍結対象である事が明らかにされたと22~26日付現地紙、サイトが報じた。
今回の予算凍結は22日に連邦議会に送られた歳入と支出の評価と抱き合わせで発表された。予算凍結は歳出上限法順守に不可欠だが、今年は既に2度実施され、日常業務にも支障が出ているとの苦情が出ていた。
それでも、既に凍結した予算の一部を取り崩して急を要する支出に充てる必要が生じ、2度目の凍結対象だった87億レアルの約半分は既に凍結が解除されている。これらの動きも、99・6億レアルのはずだった凍結額が127・4億レアルに上る一因となった。
凍結予算の使用例は科学と技術発展のための国家基金(FNDCT)の25億レアルなどだ。連邦政府は議会と交渉し、凍結予算の解除回避を図ったが、うまく行かなかった。
科学技術省を除く省庁の予算凍結額は92億レアルに上るとされており、保健省や教育省の予算も新たな凍結の対象とされている。
ただ、ブラジルの予算の95%は人件費や社会福祉費などの義務的支出であるため、非義務的支出だけで予算を削るのは容易ではない。非義務的支出には水道代や電気代、通信費、清掃費、治安維持費、連邦大学の運営費、国道の保全費、被災地支援費などが含まれる。
経済省は今月分の予算凍結によりいくつかの政策は継続が困難になるとする一方、補正予算を組む事で9~10月以降の経費は正常化するとも語った。
新社会保障費導入や生活扶助増額などを含むPECカミカゼ承認で412億レアルの支出増の中、基礎的収支の黒字化は非常に困難との見方が強いが、経済省は政権最終年を黒字で終わらせるべく、連邦貯蓄銀行(CAIXA)、社会経済開発銀行(BNDES)、ブラジル銀行、ペトロブラスに配当金を前倒しで払うように求めているという話もある。ゲデス経済相は就任前に政権1年目で負債をゼロにすると豪語したが、その言葉は実現しないまま今に至っている。