《ブラジル》IPI引き下げの大統領令=ZFMで作る製品は対象外=穴埋めのため車は引き上げ

ボルソナロ大統領が7月29日、アマゾナス州マナウス市のフリーゾーン(ZFM)で生産する製品を除く工業製品の工業製品税(IPI)を35%引き下げるという大統領令に署名し、連邦官報に掲載したと7月31日付現地紙、サイトが報じた。
今回の大統領令は、2月に出た、タバコ以外の製品へのIPIを一律で25%引き下げるという大統領令を改定したものだ。一律でIPIを引き下げた場合、ZFMが受けている恩恵が相殺され、ZFMで生産する企業の競争力が損なわれるため、同大統領令はアマゾナス州選出議員やZFMで操業する企業から強い反発を受けた。
だが、連邦政府は同令を撤回せず、ZFMで生産する製品以外の製品のIPIの引き下げ幅を35%とする大統領令を4月に出したため、ソリダリエダーデ(連帯)の訴えを受けたアレシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事が、5月に大統領令差し止めを命じた。
今回の大統領令はこういった動きを汲み、司法上の問題が起きる可能性を排除したものだと経済省のスタッフは説明している。
これにより、家電製品や自転車、テレビ、携帯電話、コンピューターなど、約4千項目のIPIが35%引き下げられる。ただし、ZFMでも製造されている製品は減税の対象外となる。
他方、自動車や自動車、バイク、電動自転車のIPIは、18%が24・75%に引き上げられる。一部報道では自動車のIPIは24・75%が18%に引き下げとあるが、経済省は、自動車部門への減税を他の工業製品に与えられた減税率と同等にするための措置と説明している。
経済省では、これによって国産品と輸入品のIPIが引き下げられ、工業製品の国際競争力が増し、国内消費が拡大すると見込んでいる。また、IPI引き下げによる生産コスト低減や国内消費の回復と需要増に伴う形で生産量が増えれば国内総生産(GDP)も成長すると見ている。
ただ、問題があるのはこの大統領令が選挙年に出された事だ。選挙法では、選挙年に特定の部門やグループを益するような法案やプロジェクトを禁じており、一部の専門家は最高裁が再度の差し止めを行う可能性を指摘している。