《ブラジル》7月のポウパンサ引き出し額は新記録=1月からの累積出超額も同様

中央銀行が4日、7月のポウパンサ(貯蓄預金)は127億レアルの出超で、ポウパンサが開設された1995年1月以降の7月の中では最高だったと発表したと同日付G1サイトなどが報じた。
中銀によると、7月の預入額は2904億レアルで引出額は3031億レアルだった。引出額が増えたのは、経済基本金利(Selic)が高まり、銀行への預金、ファンドなどへの金利も過去3年間で最高になっている事と、負債に苦しんでいる家庭が増えた事が原因と見られている。
中銀によると、同様の傾向は1~7月の累計でも見られている。1~7月の出超額は632億レアルで、2016年に記録した437億レアルを大幅に上回っている。
中銀によると、融資返済の遅れなどで銀行に対する負債を負っている家庭は、4日現在で得られた最新のデータである3月時点で52・2%に増えた。新型コロナのパンデミックが始まる前の2020年2月は41・7%だった。
中銀の統計担当主任のフェルナンド・ロッシャ氏によると、4月までの3カ月間の債務不履行者は6660万人で、負債総額は2783億レアルに上ったという。単純計算では1人あたり4179・50レアルの負債を抱えていた事になる。
債務不履行でブラックリストに掲載された人の数は1年間で400万人、今年に入ってからでも180万人増えている。負債の内容は、銀行やカード会社に対するもの28・2%、電気代や水道代、ガス代22・7%、小売店や金融会社に対するもの12・5%だった。
8日付アジェンシア・ブラジルなどによると、7月は、同月に支払期限や返済期限を迎える経費や融資などがある家庭は78%になり、昨年同月より6・6%ポイント増えたという。それによると、支払いや返済が遅れている家庭は前月の28・5%から29%に増え、「どうしても払えない」も6月の10・6%が10・7%に増えている。
他方、債務のせいではないポウパンサ引き出しは、利率が低く、ポウパンサに置いていてもインフレ率以下の利息しかつかない事が原因だ。現在の経済基本金利(Selic)は13・75%、ポウパンサの利率は年6・17%+参考金利(TR)だから、現在のインフレ率と所得税を考えると0・91%の目減りとなるという。