《ブラジル》企業の82%が民主主義順守求める=「書簡」読み上げ翌日に控え=ボルソナロはなおも批判継続

民間企業の82%が「民主主義の順守」を最優先に考えていることが明らかになった。ボルソナロ大統領は依然として、明日11日に読み上げられる司法関係者や企業家ら80万人以上が署名した「法治民主国家擁護の書簡」を批判し続けている。9、10日付現地紙、サイトが報じている。
82%の企業が民主主義の順守を重要視しているというデータは、チデ・セツバル財団とシヴィス研究所が5月20日~7月8日に417人の企業家に行ったアンケートで明らかになったものだ。
この調査では、98%の企業が、会社やビジネスにも「自由で公正な選挙が大切(必要)」と考えていることもわかった。
注目すべきは、このアンケートが「法治民主国家擁護の書簡」の署名がはじまる前に行われていることだ。この署名がはじまったのは7月25日からであり、この存在が企業の意見に影響を与えたということはなく、企業が普段から抱いている理念であることが示されているためだ。
一方、質問を「国の非常事態時において、大統領は連邦議会を閉鎖し、自身で国を治めることができるか」にすると、55%が「全く同意しない」、32%が「部分的、もしくは全面的に賛成」となった。それ相当の理由があったとしても過半数が独裁的政治運営に反対していることは明らかだ。
また、82・5%の企業が、「どういう理由であれ、人に拷問を科すのは許されない」と答え、81%が「政府は社会問題に対応する必要がある」と回答している。
「向こう数年間の政府の取り組み」として企業が最優先で望むことは「表現の自由」が33・8%で1位となり、「インフレ抑制」の32%を上回った。
これらは明日11日にサンパウロ総合大学(USP)の法学部校舎で予定されている、「法治民主国家擁護の書簡」の読み上げを前に、ボルソナロ氏には耳の痛い話となった。
この「書簡」への署名は9日現在で80万人を超え、注目を高めているが、ボルソナロ氏はこの書簡の必要性や署名の重要性を拒み続けている。
この署名が行われたそもそもの背景には、ボルソナロ氏が選挙の投票システムを疑う発言を何年間も続けた上にエスカレートさせていることがある。署名開始の1週間前には諸外国の大使や代表の前でブラジルの選挙の虚偽情報を拡散して国際的な問題にまでなっている。
大統領は8日、サンパウロ市でブラジル銀行協会連盟(Febraban)や全国金融研究所連盟(CNF)との会合を行ったが、そこでも「書簡」に関して、「私の顔と行動をよく見ろ。私を判断するのはそれからだ」と発言して批判。「絶対に署名などしない」と息巻いた。「書簡」には財界も積極的に署名を働きかけていた。
この「書簡」に関しては、読み上げ当日の11日に持たれる会合で、サンパウロ工業連盟(Fiesp)がボルソナロ氏の署名をと熱望しているが、実現性は薄いようだ。
民主主義への声明はUSPのみならず、ブラジル弁護士会(OAB)やカンピーナス大学(Unicamp)でも相次いでいる。