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《ブラジル》緊張の中、モラエス選挙高裁長官が就任式=ルーラ、ボルソナロが同席=軍や独立記念日の対応に注目

2022年8月18日

就任式でのモラエス長官(Antonio Augusto/Secom/TSE)
就任式でのモラエス長官(Antonio Augusto/Secom/TSE)

 16日夜、選挙高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス長官とリカルド・レワンドウフスキー副長官の就任式が行われた。最高裁判事としてボルソナロ大統領と幾度となく対立し、10月の統一選挙でも民主主義が保たれるかと緊張感が流れる中での就任式は、大統領選で対決するボルソナロ氏とルーラ氏が同席する中で行われ、話題を集めた。16、17日付現地紙、サイトが報じている。
 就任式には最高裁判事や13人の連邦政府閣僚、40人の各国大使、22人の州知事、アウグスト・アラス連邦検察庁長官、そして歴代大統領が同席した。
 壇上にはモラエス新長官とルイス・フクス最高裁長官、ボルソナロ大統領、アルトゥール・リラ下院議長、ロドリゴ・パシェコ上院議長らが座り、向かい合う平場最前列にはジョゼ・サルネイ、ルーラ、ジウマ、テメルの歴代大統領が横並びで座った。
 ジウマ氏は大統領を追われて以来初めて、自分を罷免した当時の副大統領テメル氏と顔を合わせた。だが、ジウマ氏とテメル氏の間に、サルネイ、ルーラの両氏が座ることで距離を置いた。
 宿敵のボルソナロ氏とルーラ氏が同席したことにも注目が集まった。ルーラ氏は先に会場に入っており、ボルソナロ氏が入場する際に大勢が拍手をする中、水を飲み干す仕草で拍手をしなかった。
 大統領選を含む統一選を担当する選挙高裁の長官就任式がこれほど注目されたのは前代未聞で、二極化した選挙と、モラエス氏とボルソナロ氏の対立の根深さを象徴している。モラエス氏は最高裁のフェイクニュース対策担当で、大統領支持派の政治家やジャーナリスト、企業家の捜査を多数行ってきた。大統領も反最高裁デモを煽り、モラエス氏らを標的にしてきた。
 モラエス長官の就任挨拶はかなり、ボルソナロ氏に向けたととらえられるものだった。同長官は「ブラジルは最大の民主主義国家のひとつ」とし、「投票当日に結果がわかる唯一の民主主義国家で、安全で有能、高い透明性を誇る選挙制度は世界最高だ」と言い切った。
 また、ブラジルの選挙裁判所に関しても、「1932年の創設時に選挙の透明性や安全性を信用しない勢力と戦って以来、歴史を積み重ねてきた」と誇り高く語った上、「選挙期間中は、民主主義を破壊しかねない憎悪を喚起させるような発言は断じて認めない」と厳しい口調で言い切った。
 これらはいずれも、2018年大統領選以来、選挙システムを疑い続け、国内外にブラジルの選挙への疑惑を根拠なく挙げ続けるボルソナロ氏に向けられたものと解釈されている。モラエス長官のこれらの言葉に対し、ボルソナロ氏が拍手を送ることはなかった。
 新長官の当面の課題は、選挙監視への関与を希望する軍や、反最高裁デモが予想される9月7日の独立記念日への対応だ。モラエス氏は選挙への軍の関与希望代弁者であるパウロ・セルジオ・ノゲイラ国防相と良好な関係を築いているが、ボルソナロ大統領との関係の行方が注目される。


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