《ブラジル》最高裁が新たに3州を補償対象に=ICMSで生じた損失分=連邦自治体への影響認める

【既報関連】最高裁のジルマル・メンデス判事が19日夜、燃料などへの商品流通サービス税(ICMS)に上限を設けた事で生じた連邦自治体(州と連邦直轄区)の税収減分を補償するよう、国に命じたと20日付現地紙、サイトが報じた。
新たに補償の対象とされたのはアクレ、ミナス、リオ・グランデ・ド・ノルテの3州。7月末にはルイス・フクス最高裁長官とアレッシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事もサンパウロとアラゴアス、ピアウイ、マラニョンの4州への補償を命じている。
これらの判断は、連邦政府がインフレ抑制対策として導入した、燃料や電気代などの生活必需の商品やサービスへのICMSの課税率を17~18%に制限した事で損失が生じた事を受けたものだ。
燃料と天然ガス、電気代、通信費、公共交通料金でのICMSに上限を設ける法令は連邦自治体に大幅な税収減をもたらしている。ICMSの一部は市にも回されるため、多くの市も税収減に悩んでいる。ICMS減収の影響は、基礎教育から高等教育に至るまでの教育機関などでも深刻化している。
連邦議会はICMSに関する法案審議時、前年比で5%以上の減収が生じたら国が補償との項目を盛り込んでいたが、大統領の拒否権行使により多数の自治体で運営や政策適用が困難になっていた。
大統領拒否権は7月14日に連邦議会が拒否しており、国による補償は復活した。だが実際の適用は、今月5日の大統領による補償に関する項目承認と同日付連邦官報掲載まで行われていなかった。
ICMSの課税率引き下げによる損失がインフレ調整後の昨年同期の税収の5%以上の州は、国に対して抱えている負債の返済額と相殺できる。また、国に対する負債がない州や負債残額が補償額を下回る州は、来年納入するべき、鉱物開発金融補償(CFEM、鉱物ロイヤルティ)と相殺できる。2021年のCFEM総額は102億レアルで、国の取り分は12%だ。
メンデス判事は19日、国はICMSの劇的な削減という方法でインフレ抑制を試みたが、それによって新たな問題を生じさせたと明言。現状は、最高裁の介入で解決した1996年のカンディール法による免税問題と同じだとコメントした。