全伯俳句大会=幼な移民異国に老いて春を詠む=山田かおるさん1位に輝く=頭脳明晰97歳、アリアンサ育ち

ブラジル日本文化福祉協会主催の「第13回全伯俳句大会」が21日、3年ぶりに同会議室で対面開催された。当日の席題部門では《幼な移民異国に老いて春を詠む》など作った山田かおるさん(97歳、香川県)が18点で見事1位に輝いた。第2位は山城みどりさん(11点)、第3位は鈴木文子さん(10点)。グァタパラからも3人が出席するなど26人が集まって旧交を温めた。
司会は西森ゆりえさんが務め、参加者らは先亡者へ1分間の黙とうをささげた。挨拶に立った文協評議員会の山下譲二会長は「ハイカイのように国際化した日本文化がいくら広まっても、原点を忘れたものは長続きしない。皆さんが頑張っている姿は実に感動的です」と述べた。
続いて文協文芸委員会の永江ネイディ久恵委員長が「3年ぶりの対面開催で、より素晴らしい作品ができるものと期待しております」と述べ、前回までの実行委員に拍手を贈り感謝を示した。
実行委員長の吉田しのぶさんは「2年間の自粛生活に耐え、待ちに待った大会でございます。句友の皆さまとの再会にいきいきとした表情が会場のあちこちで見られました」と喜び溢れる様子で挨拶をのべた。
兼題投句は6月30日締め切りで、投句者89人、投句総数422句が寄せられた。兼題選者10人による選の結果発表は、11月に行われる文芸賞授賞式で行われる。今回は特別に、来伯中の増田恒河研究者・白石佳和高岡法科大学准教授も選に加わる。
大会当日の席題は「春季一切」。加えて「波」を入れることが推奨された。一般は5句投句5句選。投句者数は26人、選者は吉田しのぶ、小斎棹子、伊那宏の3氏。各選者の特選句は次の通り。
▽吉田しのぶ選《幼な移民異国に老いて春を詠む》山田かおる▽小斎棹子選《山焼や開拓初期の子の火傷》山城みどり▽伊那宏選《荒波を越えきし暮し冬日燦》鈴木文子
席題の総合得点では1位=山田かおるさん(18点)、2位=山城みどりさん(11点)、3位=鈴木文子さん(10点)、4位=西谷律子さん(9点)、5位=高木みよ子さん(9点)、6位=西森ゆりえさん(9点)、7位=伊那宏(8点)、8位=武田知子(8点)、9位=串間いつえ(7点)、10位=太田映子(7点)。
選者の吉田さんは句評で、特選句を選んだ理由を「幼な移民という言葉から星野瞳さん、杉本絃一さん、栢野桂山さんら戦前の幼な移民の俳句指導者に想いを馳せました」と説明した。
1位に輝いた山田さんは「思いがけなく頂いて、うれしい限り。3歳で日本からきてアリアンサ育ち、勉強しておりません」と恐縮しながら感想を述べた。15歳から俳句をはじめ、現在はサウーデ句会で作句に励む日々だという。97歳には見えないシャキシャキとした立ち振る舞いで周りを驚かせていた。